2016 Fiscal Year Research-status Report
戦後の引き揚げ者による農村開拓と大規模化農政における海外移民との関係に関する研究
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16K07927
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
中田 英樹 成蹊大学, その他部局等, 研究員 (70551935)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 戦後開拓農村 / 戦後海外移住施策 / 大規模化・機械化への戦後農政 / 移動労働者 / 高度経済成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、4月から7月、および、9月においては、岩手県奥中山戦後開拓地で戦後開拓および戦後の南米への移住に関する聞き取り調査を、現地の住民を対象におこなった。また、JAの奥中山支部や役場に隣接された奥中山の図書館等において、郷土資料を閲覧・複写した。結果、この奥中山という地の、戦後に開拓されるプロセスとは、予め明確かつ具体的な構想とともに進められたものではなく、戦後にこの地が、大規模酪農地帯として転化していくなかで、ムラとしてのまとまりが出来てきたことがわかった。 また、同期間において、盛岡市において岩手県立図書館の郷土資料コーナーや岩手県開拓振興協会などで、資料を閲覧・複写した。さらには、同市において、戦後の上記動向に詳しい方々に話を聞くとともに、個人的に収集されてきた資料を閲覧・複写させて頂いた。
さらに海外調査としては、2017年の2月にパラグアイのピラポ日本人居住区(「岩手村」があることからもわかるように、ここには岩手県出身の移住者が多い)に滞在し、移住してこられた人たちから話を聞くことができた。また、個人資料も閲覧、あるいは写真撮影などをさせて頂いた。 また、パラグアイには合計五つの日本人居住区があるが、(最後に形成された)イグアス日本人居住区以外の日本人村にも、現地の方々に車で連れて行ってもらい、大まかな予備的調査(最低限、挨拶をして実施したい研究内容についての説明)をすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
とりわけ奥中山戦後開拓地と、パラグアイのピラポ日本人居住区において、聞き取り協力者の方々から予想以上の協力を頂いた。そのことによって、当初予定していたよりも遥かに多くの方々に聞き取りを行うことができた。 また、予想以上に、図書館には所蔵されていない、個人所有の資料に多々出会うことができ、またそれらをお借りすることができたので、予定していた調査ポイントに関する裏付けとなる資料を揃えることができた。 これに対して、次年度において一層努力したい研究作業としては、今年度に収集した聞き取りや資料を取り纏め、学会での口頭発表や、論文として取り纏め、アウトプットを増やしていくということである。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに予定していた聞き取り調査協力者の方々から、さらに重要だと思われる、とりわけご老人を紹介して頂けることとなった。それによって、本研究が対象とする奥中山やパラグアイのピラポといった地域のミクロなレベルにおける、より詳細な戦後開拓の歴史および、戦後海外移住の歴史、パラグアイ現地での日本人村の形成の歴史などが、オーラルヒストリーなどをも含め、再構成できると考えている。 また、今年度2016年度において貸して頂いたり、複写させて頂いた一次資料で、詳細に読み込んでいないものが膨大にある。また、数十時間に及ぶ聞き取り調査も、まだすべてを文字おこしして、諸史料と相互参照するという作業が多く残っている。 以上の作業をすすめるとともに統合して、さらに当初予定していた、岩手県北の奥中山開拓地とパラグアイのピラポ日本人居住区を分断しないモノグラフを、豊穣化させていきたい。
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