2018 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of water management technique for preventing high temperature damage of rice on thermal environment in a paddy field.
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16K07939
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
西田 和弘 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (90554494)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 水稲の高温登熟障害 / 気候変動 / 水管理 / 米の外観品質 / 水田の熱環境予測モデル / 水田の温度環境 / 水田の窒素環境 / 玄米タンパク質濃度 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は，水稲の高温登熟障害抑制のための各種水管理法による，水田の熱環境制御効果（温度低下効果）の解明を当初の目的として開始したものである．試験水田および実際の水田を用いた3年間の各種水管理試験（冷水掛流し灌漑，水深制御）により，灌漑条件（灌漑水量・灌漑水温・水深）と水田の水温・地温・稲体温度の定量的関係を取得するとともに，農家の水管理の影響を表現可能な水田の熱環境予測モデル（理論式，数値モデル）を作成した．これらにより，各種水管理法が水田の熱環境に与える影響を定量的に評価・予測可能になった．
一方で，平成29年度までの研究により，冷水掛流し灌漑実施水田の米の外観品質は，水田の温度環境だけでなく窒素環境の変化の影響も受けており，水温低下は必ずしも米の品質を向上させないこと，むしろ高気温年においては米の品質を悪化させる可能性があることが明らかになった．
この結果を踏まえ，平成30年度は，灌漑水の窒素濃度が高濃度と低濃度の水田で，冷水掛流し灌漑試験を実施し，灌漑水の窒素濃度が，玄米タンパク質濃度および白未熟粒割合に与える影響を調べた．その結果，高濃度（低濃度）の灌漑水を用いた掛流し灌漑実施水田では，玄米のタンパク質濃度は増加（低下），白未熟粒割合は減少（増加）した．共に低温の灌漑水を用いたにも関らず逆の結果となったことから，従来報告されている各種水管理による米の品質向上効果は，温度低下によるものではなく，灌漑水による窒素供給が原因である可能性が示唆された．水稲の高温登熟障害抑制を可能とする最適な水管理法の解明には，灌漑水の窒素濃度を考慮した水管理の選択が重要であると考える．
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