2017 Fiscal Year Research-status Report
開発途上国への技術移転を念頭においた塩害農地修復法の確立
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16K07943
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
猪迫 耕二 鳥取大学, 農学部, 教授 (60243383)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 除塩 / 暗渠排水 / リーチング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,小型ライシメータによるリーチング実験と数値実験より簡易暗渠の形状と土壌水分と塩分の移動との関係を明らかにした. 深さ65 cm,幅50 cm,奥行き13 cmの小型ライシメータを用いて実験を行った.ライシメータ下端の5 cmは礫層とし浸透水が自然排水されるようにした.土壌は埴壌土,疎水材には籾殻を用いた.暗渠部に降下浸透水を誘導する集水域(CB層)を設ける構造(両者をあわせて粗粒域と呼ぶ)とし,CB層には籾殻または直径5 mmのガラスビーズを使用し,1/20の傾斜をつけた.また,土槽の上部に15 dS/mの塩水を加え風乾した塩類土壌を厚さ2 cmで客土した.土壌水分・塩分センサーを測定間隔5分で自記した.2時間毎に15分間灌水した. 数値実験では浸透実験と毛管上昇実験を行った.計算条件は共通事項として,①粗粒域の資材は籾殻,②地表面から暗渠部の上端まで41 cm,暗渠部の下端から地下水面まで10 cm,③CB層の傾斜は0,1/20,1/5,1/2,④粗粒域の厚さは9 cm(領域A)と18 cm(領域B)を設定した.個別事項は,浸透実験では塩類土壌層を想定して灌水強度8 mm/h,上部境界は大気境界条件,下部境界は浸出条件とし,領域Aで計算した.毛管上昇実験では地下水を設定して上部境界は大気境界条件,下部境界は浸出条件かつ溶質フラックス条件とし,領域Aと領域Bについて計算した. 本実験の結果,1)土壌中の粗粒域境界において部分流が発生し,粗粒域への侵入が促進される.2)粗粒域の形状は傾斜があるほど浸透は速やかとなる.3)粗粒域の上端が表層に近く,粗粒領域の傾斜が大きく厚さがあるほど,塩分を伴う毛管上昇水が上層に侵入するまでの時間が長くなることが明らかとなり,粗粒域の形状は作土層に沿うような傾斜を持ち最小限度必要となる厚さがあることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究そのものは当初予定通り進んでいるが,本年度の実験結果が得られるまでに時間を要したため,成果発表の年度内実施が当初予定通りに実施できなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定通り,ビニルハウス内のライシメータでの実証実験と数値モデルによる解析を平行して行い,簡易暗渠の設計案のブラッシュアップを図る.また,今年度予定通りに実施できなかった成果発表を積極的に行っていく.
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