2018 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of a restoration method of salt-damaged farmlands for technology transfer to developing countries
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16K07943
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
猪迫 耕二 鳥取大学, 農学部, 教授 (60243383)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 除塩 / 暗渠排水 / リーチング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,本暗渠として籾殻のみを用いる安価な籾殻暗渠排水システム(RHUS)に着目し,本システムによる塩害発生農地の除塩過程を明らかにし,開発途上国に技術移転可能な塩害農地の修復法の確立することを目的とした. まず,1次現場における籾殻領域と土壌境界における土壌水分の移動特性を明らかにするために,円筒カラムによるリーチング実験を行い,境界面での滞留現象(キャピラリーバリア現象,CB現象)の発生を確認した.また,CB現象が解消する際に,部分流が発生して籾殻層に土壌水が侵入することを確認した. 次いで,小型ライシメータによるリーチング実験と数値実験より2次元場における土壌水分と塩分の挙動を解析し,籾殻暗渠の形状と土壌水分と塩分の移動との関係を検討した.その結果,粗粒領域集水部の傾斜が大きいほど降下浸透における籾殻部への水分・塩分輸送は速やかとなること,および,毛管上昇においては粗粒領域への水分・塩分の浸入は限定的であり,粗粒領域上部土壌への迂回浸入には時間を要することが明らかとなった. 最終年度では,実際の圃場サイズに近いスケールで3次元数値実験を実施し,籾殻暗渠の設計諸元が除塩に及ぼす影響を評価した.その結果,1)排出口の大きさはシステムの排水能力に影響を与えない,2)RHDの幅が狭い方が排水口からの流出水量は大きくなる,3)RHDは耕耘層から下層心土への塩水移動の迂回路として働くため,耕耘層から除去される塩水の量は幅の広いRHDの方が幅の狭いRHDよりも大きい,4)勾配の大きいRHDは排水口からの流出塩水量を増加させるのに有利であるが,その効果は小さい,5)RHUSは耕耘層の除塩に効果を発揮し未耕耘土層の除塩には効果が小さい,ことが明らかとなった. これらの結果から,籾殻暗渠システムを導入する際には,耕耘層の除塩を主眼とする計画を立案するのが合理的と結論できる.
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