2017 Fiscal Year Research-status Report
畑作物における集落排水処理水・消化液のリスク評価と作物生育への関与の解明
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16K07946
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
中野 拓治 琉球大学, 農学部, 教授 (30595202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
凌 祥之 九州大学, 農学研究院, 教授 (10399363)
中村 真也 琉球大学, 農学部, 教授 (30336359)
Md AmzadHossain 琉球大学, 農学部, 教授 (50452959)
治多 伸介 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (60218659)
中村 真人 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所, 主任研究員 (60414463)
山岡 賢 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, ユニット長 (70373222)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 集落排水処理水 / 農業用利用 / 畑作物 / リスク評価 / 作物生育 / 運転操作 / 処理水質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,畑作物における農業集落排水処理水・消化液のリスク評価と作物生育への関与の解明を目的としており,平成29年度は沖縄県糸満市喜屋武地内のハウス施設において平成28年度に引き続き,ミズナによるポット栽培試験を実施した。栽培試験(農業集落排水処理水区,水道水対照区,地下ダム灌漑水対照区,及び液肥水対照区の4試験区を設定)を通じて,農業集落排水処理水の水質特性を把握するとともに,作物生育状況と栄養生理学的手法の適用を踏まえた定量的な評価による処理水の畑作物の植物生理・病理への影響について検討した。栽培試験結果を踏まえると,処理水には作物生育に必要な窒素等の栄養塩類やホウ素等が含まれており,処理水利用では処理水中の窒素等による施肥効果とともに水道水利用に比較して物理的傷害やウイルス耐性などに優れた作物が生育した可能性が示唆された。農業集落排水処理水には作物生育に効果が存在しており,作物の元素吸収状況の変化を生じるなど,処理水を利用した畑地農地においては減肥を通じた肥料の節約に繋がる可能性がある。沖縄県内で稼働中の5地区の農業集落排水施設(S施設,Y施設,K施設,A施設,O施設)において,処理方式・運転条件による影響と作物生育の関与を明らかにする観点から,BOD・窒素除去性能と運転管理手法に関しても検証を行った。連連続流入間欠ばっ気活性汚泥方式のBOD除去性能の安定を図るためには,流入水の水温と流入負荷に応じて水理学的滞留時間を確保するとともに,ばっ気槽内のMLSS濃度とばっ気空気量を適切に設定することの重要性が示唆された。農業集落排水処理水の生育効果に関する検討結果と知見が,今後,処理水の灌漑用水としての再生利用に向けて活用されることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は,栽培試験・現地観測等で得られた試験データの解析・検証等を行うとともに,処理水・消化液の作物生育効果とリスクの評価モデルの構築を通じて,集落排水施設の処理方式・運転条件や灌漑手法による土壌環境と作物生育への関与を明らかにし,灌漑用水の水質管理に活用できるリスクアセスメント手法の適用による再生水技術の知見の集積を図ることにしており,研究計画に即した知見・成果が得られたものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,研究3年目であることから,これまでに得られた知見・成果を踏まえて,研究計画に即して,研究分担者とのより一層の連携を図りつつ,初期の研究目標の達成に向けて,今後の研究を計画的かつ効果的に進めて参りたいと考えている。
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Causes of Carryover |
(理由) 平成29年度に予定していた室内試験とデータ解析作業について,第2回栽培試験結果から得られた知見と試験・解析条件との整合を図る観点から,一部の試験・データ解析作業を次年度に延期するとともに,効率的に研究経費を捻出して研究を遂行したことから,当初計画からの使用額の変更を生じた。 (使用金額) 物品費に100000円,旅費に160000円を使用して,平成30年度の研究計画を円滑に実施することにしたい。
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Research Products
(13 results)