2016 Fiscal Year Research-status Report
Regulation of energy and nitrogen metabolism by glycerol in ruminants with different ruminal functions
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16K07981
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
佐野 宏明 岩手大学, 農学部, 教授 (20196306)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 反芻家畜 / 第一胃マニピュレーション / 第一胃発酵 / グルコース代謝 / ロイシン代謝 / グリセロール / 窒素消化率 / 同位元素希釈法 |
Outline of Annual Research Achievements |
バイオディーゼル生成の過程で生じる副生物グリセロールが有するエネルギーとその特徴的な代謝経路に注目し、反芻家畜の飼料原料として有効利用するため、第一胃機能確立前後のウシおよびヒツジを用い、グリセロール添加時の第一胃発酵性状、飼料エネルギーの利用性、グルコースおよびタンパク質(アミノ酸)の代謝動態を測定する。これにより、第一胃機能の発達段階が異なる反芻家畜におけるエネルギー・窒素(N)代謝に及ぼすグリセロール添加の影響を解明する。 実験1:人工第一胃法による第一胃発酵に及ぼすグリセロール添加の用量反応 第一胃内容液は第一胃フィステル装着ヒツジから採取した。グリセロール添加は0、1、3、6、10、15%の6水準とし、実験規模は10反復、培養時間は24時間とした。現在までに、予定した実験回数の実験が実施されておらず、平成29年度も継続して実験を実施する。 実験2:第一胃機能の発達段階の異なるウシにおける飼料エネルギー分配、第一胃発酵、エネルギーおよび窒素代謝に及ぼすグリセロール添加の影響 乳用去勢育成牛5頭を供試し、グリセロール添加の有無による粗飼料主体(粗濃比=2:1)の2飼料区を設定した。グリセロールは給与飼料の2%を添加した。第一胃発酵性状、血漿グルコース、ロイシン代謝回転速度を測定した。第一胃内プロピオン酸、酪酸濃度は採食後に上昇し、酢酸/プロピオン酸比はグリセロール添加区が低かった(P<0.05)。第一胃内容液アンモニア濃度およびpHは低下した(P<0.05)。血中尿素態窒素(BUN)、遊離脂肪酸(NEFA)、β‐ヒドロキシ酪酸(BHBA)濃度、血漿グルコース、ロイシン代謝回転速度は飼料間に差がなかった。以上の結果より、グリセロール添加給与は第一胃機能の確立したウシにおけるエネルギー・窒素代謝に影響を与えなかったが、一部の第一胃発酵性状に影響を及ぼす可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請書では3種類の実験を予定している。人工第一胃を使用した実験は現在実施中であり、これまでに予定した例数の実験結果を得られていない。そのため、今後も継続して実験を実施してサンプリングを完了させ、引き続き分析をを行う。第一胃発酵機能が確立したウシを用いた実験ではサンプリング、分析が終了し、ほとんどの結果が得られた。本年度は成ヒツジおよび子牛を用いて実験を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
過日、子ヒツジの供給を依頼している生産者から、今春は子ヒツジの誕生数が少なく、申請者には供給できない旨の連絡があった。止むを得ず、成ヒツジを使用して実験を実施する。また、第一胃機能が確立していない子牛の実験に関しては、近年子牛の市場価格が高騰しているため、実験動物の購入費が予算を大幅に上回る事態になっている。そのため、申請した例数を用いた実験の実施は難しい状況であるが、例数を減じてでも研究を実施したい。
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Causes of Carryover |
実験を予定していた子牛の数が揃わず、子牛を使用した実験は平成29年度に延期した。そのため、子牛購入費、その他の経費が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
子牛の購入費、飼養委託費および実験実施のための消耗品費、研究発表のための旅費として使用する。
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