2016 Fiscal Year Research-status Report
第6の味覚、脂肪の味を感受する受容体の諸臓器における発現
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16K07995
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
谷口 和美 北里大学, 獣医学部, 准教授 (00171843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞鍋 昇 大阪国際大学, その他部局等, 教授 (80243070)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 味覚受容体 / 脂肪 / 長鎖脂肪酸 / 免疫組織化学 / 定量的PCR |
Outline of Annual Research Achievements |
味覚は従来、甘味、旨味、苦味、酸味、塩味の5つが基本味であるとされてきたが近年、脂肪にも味があるとされるようになってきた。甘味受容体、旨味受容体、苦味受容体といった味覚受容体は舌以外にも多くの臓器に存在することが知られている。一方で、近年になって見つけられた脂肪味に関しては、未だに全身臓器での正確な分布およびその作用は十分に解明されていない。そこで本研究は供試動物として雄のC57BL/6Jマウス15匹を用いて、長鎖脂肪酸に対する受容体、すなわちG-protein coupled receptor (GPR) 40、GPR 113、GPR 120およびCluster of differentiation 36 (CD36) のmRNA量の多臓器分布を、Real-Time PCRにより定量的に検索、GPR113とGPR120は免疫組織化学的に観察した。結果、PCRにおいて、これら4種類の脂肪酸受容体は、舌(有郭乳頭、茸状乳頭)、下顎腺、涙腺、網膜、十二指腸、結腸、膵臓、肝臓、腎臓(皮質、髄質)のうち多くの臓器で発現していた。GPr40は涙腺、網膜および有郭乳頭には発現が認められなかった。Gpr40は膵臓、Gpr113は有郭乳頭、Gpr120は結腸、Cd36は腎臓において他臓器よりも有意に高い発現量を示した。免疫組織化学的検索ではGPR113は盲腸、膵臓など、GPR120は十二指腸および結腸の基底顆粒細胞、網膜の杆体視細胞と錐体視細胞層、精巣上体、陰茎、涙腺や下顎腺の星状筋上皮細胞、腎臓などで陽性を示した。これらの結果より、これまで報告されている以外にも多くの組織に肪酸受容体が分布していることを明らかにした。また、GPR120が分布しているといった報告が無い腎臓、涙腺、下顎腺でも本研究では免疫組織化学的検索で陽性を示した。さらにqPCRの結果、Gpr120の存在を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
おおむね順調だが、予想していた結果と異なった結果が一部得られた。たとえば唾液腺においては腺細胞に発現することを予想していたが、平滑筋に分布していた。そこで、追試が必要となり、やや遅れを生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の方針を続けるとともに例数を増やす予定である。また当初の実験計画通り実験を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
実験が予定よりやや遅れ気味であったことから、使用金額も予定額に達しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は昨年度の分まで使用する予定である。
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