2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of next-generation technology for poultry reproductive engineering
Project/Area Number |
16K08000
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
田上 貴寛 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 上級研究員 (60355104)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ニワトリ / 始原生殖細胞 / 培養細胞 / 遺伝子導入 |
Outline of Annual Research Achievements |
始原生殖細胞(PGC)形成能を有しない遺伝子改変ニワトリを作出するために必要な2種類のベクターの作成した。1つは生殖細胞特異的発現遺伝子の発現制御領域の下流に原核生物由来の転写因子であるテトラサイクリン調節性トランス活性化因子(tTA)を連結した制御ベクター。もう1つは、tTAで誘導されるテトラサイクリン応答因子(TRE)の下流に細胞死を誘導するジフテリアトキシンA遺伝子(DTA)を連結した応答ベクターである。これらのベクターはそれぞれ、トランスポゾンシステムを用いて培養したニワトリPGCに導入した。ベクターが導入された培養PGCは、各ベクターに搭載したネオマイシン耐性遺伝子を利用し、抗生物質G418を加えた培養液を用いて選択した。ベクターが導入された培養PGCからDNAを抽出しPCRを行った結果、2種類のベクターは、それぞれ培養PGCに組み込まれていることが確認された。制御ベクターが組み込まれた培養PGCではtTA遺伝子が転写されていることをRT-PCRにより確認した。一方、応答ベクターが組み込まれた培養PGCにおいてはDTAは転写されておらず、非特異的なジフテリアトキシンAタンパク質の発現は起こっていないことを確認した。今後は、制御ベクターまたは応答ベクターが導入されたPGCを宿主胚となるニワトリ胚に移植し、生殖系列キメラニワトリを作出する。性成熟に達したキメラニワトリについて交配試験を行い、最終的に両ベクター配列を有する遺伝子改変ニワトリを得る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
始原生殖細胞(PGC)形成能を有しない遺伝子改変ニワトリを作出するために2017年度に作成した2種類のベクターは、培養PGCへの導入が困難であることが判明した。その原因として、導入ベクターの薬物耐性遺伝子の不具合が考えられたことから、2018年度はベクターを新たに作りなおすことになった。現在は問題は解決し、作成したベクターを導入した2種類の培養PGCの生産に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子導入用ベクター作りに遅れは生じたが、2017年度-2018年度の始原生殖細胞(PGC)の培養技術の改良により雌雄のPGCが配偶子形成機能を持ったまま培養できることが確実となった。これにより、当初の予定では2世代を経なければつくることが出来ない目的の遺伝子改変ニワトリが1世代の交配で作ることが出来ると考えられる。このため、今後は2種類のベクターのうち1種類を雄培養PGCに、もう1種類を雌培養PGCに導入し、キメラ同士の交配により、目的のニワトリを作出することに取り組む。
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Causes of Carryover |
2017年度に2種類の遺伝子組換え用ベクターを作成したが、2018年度中に培養したニワトリ始原生殖細胞への遺伝子導入が困難であることが判明した。原因はベクターの不具合と考え、再度ベクターを調整した。これにより2018年度中に行う予定だったニワトリの作出が困難となった。現在はベクターの再調整も終了し、培養細胞へのベクター導入も可能になった。2019年度は、ベクターを導入した培養PGCをニワトリ宿主胚へ移植し、目的の遺伝子改変ニワトリを作出する。
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Research Products
(2 results)