2016 Fiscal Year Research-status Report
ニューロキニンBを用いた種畜側からの受胎率改善技術の開発研究
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16K08001
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
山村 崇 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門・家畜育種繁殖研究領域, 主任研究員 (60582723)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ニューロキニン / 受胎率 / 家畜 / ヤギ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、雌の家畜で確立されつつあるニューロキニンB(NKB)による性腺機能賦活化技術を雄の家畜へ応用するための基礎的な知見を得て、受胎率の改善を目指すとともに、この技術を用いた製剤化に向けた開発を行うことを目的とした。本年度は、精巣の活動を制御する繁殖制御中枢へのNKBの作用を解析した。 精巣の活動を制御するパルス状黄体形成ホルモン(LH)分泌を反映する脳の視床下部弓状核近傍の神経活動を記録できるよう施術した雄ヤギを供試した。また、繁殖中枢は精巣から分泌される性ホルモンによるフィードバックの影響を受けているが、NKBの繁殖中枢への直接的な作用を明らかにするために精巣摘出を施した。NKBはNKB受容体以外にも作用していることが知られているため、投与にはNKB受容体の特異的作動薬であるセンクタイドを用いた。センクタイドを末梢血中へ単回(10 nmol, 50 nmol/2mL)および持続(5 nmol, 20 nmol/分で3時間)投与した際の弓状核近傍の神経活動や頻回採血による血中LH濃度の変化を解析した。 単回投与の結果、50 nmolの投与で外因性の弓状核近傍の神経活動とLHパルスが1回誘起されたが、10 nmolの投与ではこれらの変化は認められなかった。持続投与では、濃度依存的に神経発火活動の回数(対照:5.5回, 5 nmol:8.5回, 20 nmol:13.5回/3時間)が増加した。また、それに伴いLHパルスの頻度も増加するような傾向が見られた。 これらの結果から、雄の動物においてもNKBの作用により繁殖中枢が刺激され、LHパルスの頻度が上昇することが示された。このことから、NKBを用いることで精巣の機能を賦活化でき当初の目標を達成できることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NKBが雄の家畜においても繁殖中枢を刺激し、LHパルス頻度を高めることができることを明らかにした。このことから、NKBを用いることで精巣の機能を賦活化できる可能性が高まり、インタクト(精巣機能正常)ヤギを用いた実験に多少遅れは出ているものの、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
NKBの繁殖中枢への刺激の有効性が確認できたため、次年度はインタクト(精巣機能正常)ヤギを用いて、センクタイドの投与による血中性ホルモン分泌や精巣機能に及ぼす影響を解析する。繁殖中枢の機能が高まった後、その影響が精巣や精子・精液に表れるのは1か月後程と考えられるので、センクタイドの投与方法や回数・期間など複数の試験を行い、採血や採精なども数週間に渡って行って、適切な条件を解明する。 さらに、性腺機能賦活剤開発に向けた作動薬の開発に向けて、我々は既存の作動薬であるセンクタイドよりも強力な作用を持つ新規作動薬を複数開発しており、それらの中で精巣機能賦活剤として最も有効な作動薬の選定を弓状核近傍の神経活動やLH分泌を指標として行う。 また、暑熱の影響が性ホルモン分泌や精液性状に与える影響およびNKB投与がそれらにどのように寄与するのかを調べるために、7月後半から8月前半に屋外飼育されているヤギを用いて、センクタイドの投与による血中性ホルモン分泌や精巣機能に及ぼす影響を解析する。
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Causes of Carryover |
購入予定であった実験用動物(ヤギ)が本研究機構内で飼育している動物を利用することができ、その分の研究費を使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験用動物(ヤギ)に不測の事態が起きないとも限らないため、引き続き実験用動物(ヤギ)の購入費に充てる。また、得られた成果を国際学会で発表するための旅費として使用する。その他に、当初の予定通り、試薬、神経活動記録用消耗品などの購入を予定している。
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