2019 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of vegetation discrimination ability in cattle and creation and evaluation of grazed grasslands friendly to animal ability
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16K08008
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
平田 昌彦 宮崎大学, 農学部, 教授 (20156673)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ウシ / 植生識別能力 / 視覚 / 嗅覚 / 触覚 / 味覚 / 体系的評価 / 草地設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.最終年度に実施した研究の成果 本研究課題の目的と計画の前半部分「ウシの植生識別能力の体系的把握と理解」ならびに後半部分「ウシの植生識別能力に配慮した草地の設計・創出とその性能の評価・検証」に関して,それぞれ2つと1つの実験を実施した。(1)歩行によって到達できる距離(約2m前方)に置かれた緑草と枯死草を嗅覚によって識別できるかどうか評価を試みたが,準備した23個体のうち選抜で残ったのは2個体のみであり,データ不足のために確実な評価ができなかった。(2)小規模草地内に創出した小面積パッチへのウシの到達過程を調査した。ウシが小面積パッチを1~1.5m程度の距離から認識して到達した確率は14%,0.5m程度から認識して到達した確率は55%,小面積パッチに偶然到達した確率は31%と推定された。(3)草地に出入するためのゲートの位置の変更が,草地内の植生の識別機会を変化させることにより植生利用を変化させる可能性について検討した結果,ゲート位置の変更はゲートからの距離が近い場所での採食を増加させた。 2.研究期間全体を通じて実施した研究の成果 (1)本研究課題の目的と計画の前半部分「ウシの植生識別能力の体系的把握と理解」に関しては,視覚,嗅覚,触覚および味覚による植生識別能力が,識別対象の感覚的コントラストの程度や識別対象までの距離といった状況によってどのように影響されるのかをある程度定量的に把握することができた。これらの結果は,2報が国際誌に掲載済,1報が投稿中である。(2)本研究課題の目的と計画の後半部分「ウシの植生識別能力に配慮した草地の設計・創出とその性能の評価・検証」に関しては,植生から離れて視覚や嗅覚で識別できるために必要な識別対象の感覚的コントラストの大きさを考慮すると,植生の配置よりも,ゲートなどの放牧施設の配置を通した草地設計が重要であることが示唆された。
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