2017 Fiscal Year Research-status Report
M13ファージワクチンによるB細胞活性化機構の解明とワクチン効果の検討
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16K08024
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
橋口 周平 鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (40295275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 明一 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00733635)
岩野 英知 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (60382488)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ワクチン / バクテリオファージ / ファージディスプレイ / アジュバント / ペプチドワクチン / ミモトープ / スギ花粉症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はファージを担体としたワクチンの有効性を解析するため、1) アミロイドβ1-15をモデル抗原としてペプチド抗原の提示方法と抗原性に関する検討、2) スギ花粉症の主要アレルゲンの一つであるCry j 1のマウスB細胞エピトープをファージ表面に提示させたファージを用いて、スギ花粉感作マウスへの投与により誘導される抗体応答および治療効果について検討した。ファージ上へのペプチド抗原の提示方法に関する解析においては、ペプチド抗原をファージのg8p分子上に多価で発現させたファージは、マウス (C57BL/6およびBALB/c) において、単回投与で持続的なIgG抗体応答誘導した。ファージの外殻蛋白g3pおよびg8p分子の両方にペプチド抗原を提示させたファージの二回目の免疫において、g8p分子だけに発現させたファージと比較して強いIgG抗体応答が誘導された。Cry j 1のマウスB細胞エピトープを提示させた組み換えファージにおいても同様の結果であった。スギ花粉抽出物をAlumアジュバントと共に免疫したスギ花粉感作マウスに、Cry j 1組み換えファージを皮下投与したところ、Cry j 1特異的IgE抗体の上昇は認められず、スギ花粉抽出物感作時には観察されなかったIgG2bおよびIgG3クラスのCry j 1特異的抗体の誘導が認められた。スギ花粉感作マウスへのファージ接種後に、Cry j 1を用いてアレルギー誘発四間を行った結果、PBS投与群と比較して症状が緩和する様子が観察された。以上の結果より、スギ花粉アレルゲンのB細胞エピトープを提示させたファージワクチンはスギ花粉症の治療に有効であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ファージ表面へのペプチド抗原の提示方法については、g3pおよびg8pいずれの分子への提示も有効であるが、免疫応答の誘導のメカニズムに差異があることを見出した。詳細なメカニズムについては今後検討する必要があるが、ファージ表面への抗原ペプチドの提示方法を選択することで、誘導される免疫応答を制御できる可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、スギ花粉症モデルでのワクチン効果の検討を進めている。また、感染症あるいは治療抗体の誘導を目的としたファージワクチン開発も並行して行っており、これまでの研究成果を踏まえて、経鼻あるいは経口投与の可能性についても検討する。B細胞の活性化機構については、バプテン化したファージをモデル抗原として解析する予定である。
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Research Products
(4 results)