2018 Fiscal Year Annual Research Report
Immunological mechanism for M13-phage-based vaccine immunogenicity and its application.
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16K08024
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
橋口 周平 鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (40295275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 明一 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00733635)
岩野 英知 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (60382488)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ワクチン / バクテリオファージ / ファージディスプレイ / ペプチドワクチン / スギ花粉症 / ファージ療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、M13ファージにより引き起こされるマウスにおける免疫応答誘導のメカニズム解明を試みた。マウス骨髄細胞由来の樹状細胞(Bone marrow-derived dendritic cell: BMDC)およびマウス骨髄細胞由来マクロファージ(Bone marrow-derived macrophage: BMM)を調製し、これらの細胞を蛍光標識したM13ファージと共培養しM13ファージの取り込みを解析した。その結果、BMMへの選択的な取り込みが観察された。M13ファージと共培養したBMMおよびBMDCの培養上清中に含まれるTNF-alpha, IL-6, IL-1beta産生量を測定した結果、いずれも測定限界以下であった。昨年度に引き続き、スギ花粉アレルゲンCry j 1の抗体エピトープを提示させたM13ファージ(Cry j 1-ファージ)のワクチン効果について検討を行った。Cry j 1-ファージの投与によりアレルギー緩和効果が認められたマウスにおけるファージ投与前後での抗体応答を解析した結果、ファージ投与群においてIgG2a, IgG2bおよびIgG3クラスの抗体が誘導されることに加えて、ファージ表面に提示させたCry j 1の抗体エピトープ配列を認識する抗体が増強されていることが明らかとなった。ファージによるアレルギー症状緩和効果のメカニズムについては今後解析する必要があるが、スギ花粉感作後に観察されるIgG1およびIgE抗体についてはファージ投与前後で変化がなかったことから、Cry j 1-ファージはアレルギーの脱感作ワクチンに用いるワクチン担体として有用である可能性が示唆された。また、M13ファージは炎症性サイトカンの産生を伴うことなく抗体応答を惹起できることから、安全なワクチン担体としての利用が期待される。
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