2017 Fiscal Year Research-status Report
牛白血病を規定するウシ主要組織適合抗原(BoLA)ハプロタイプの網羅的多型解析
Project/Area Number |
16K08039
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
竹嶋 伸之輔 国立研究開発法人理化学研究所, 伊藤ナノ医工学研究室, 研究員 (60342812)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ウシ主要組織適合遺伝子複合体(BoLA) / 牛白血病ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、ウシMHC(BoLA)領域と疾患感受性の個体差の相関性を解析するために、BoLA全体、約6M塩基対をターゲットにしてプローブを設定し、ターゲットリシークエンスを行ってきた。一方、BoLA領域は非常に多型に富み、重複遺伝子も多く存在する事から、リード長の長いMiseqによるシークエンスを行うが、十分なシークエンス深度を得るためには、コストが莫大になってしまうという欠点があった。そこで、本年度は、多検体のシークエンスを行うために、シークエンス領域をよりコンパクトにすることを目的として、牛白血病ウイルス(BLV)感染前およびBLV感染後のMHC領域内の遺伝子発現をRNA-seqによって解析する事で、各遺伝子の発現の有無の調査を行った。PCR-Sequence Based Typing法を用いてウシ主要組織適合遺伝子複合体(BoLA)-DRB3、BoLA-DQA1を、SNP1およびSNP2をタイピングし、牛白血病プロウイルス量を増加させるアレルであるBoLA-DRB3*1601:DQA1*12011:SNP1*A、SNP2*Aをホモで有する黒毛和種5頭について、BLV感染牛由来白血球を静脈内注射して感染させ、そのプロウイルス量の増加をCoCoMo-qPCR法で測定し、全ウシ遺伝子のmRNAの発現を次世代シークエンサーを用いて解析した。 抗原提示に関与するMHC遺伝子の中で、発現が強くみられたものは、BoLA-A、JSP.1、DQB, DRB3, DQA5, DQA2, DRA, NC1, DMA, DMB, TAP1などであった。一方、BoLA-DYA, DYB, DSBといった、反芻動物特異的なMHC遺伝子や発現が弱いとされているDRB2の発現は非常に弱かった。驚いたことにBoLA-DQA1遺伝子の発現は殆ど見られず、この感受性ハプロタイプの特徴である可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
BLVと相関するMHC領域をより効率的に検出するため、RNA seqをもちいて発現解析を行い、重要と思われる遺伝子領域の推定を可能とした。本成果に基づき現在プローブを設計中で有り、この課題の目標達成に大きく近づいたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
BLV感染にともない発現変動するMHC遺伝子や、感染前および感染後に発現しているMHC遺伝子の情報をもとに、MHC領域の中で、特に重要な領域を絞り込み、相関解析を実施するためにもっとも有用なプローブセットを構築する。
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Causes of Carryover |
相関解析を実施可能なリシークエンス法に改良するためにRNA seqによる発現解析を行った。そのため、新しいプローブを用いたMHC領域のリシークエンスを最終年度に行う事ととしたため、使用差額が生じた。
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