2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of control strategies against avian colibacillosis using bacteriophages
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16K08050
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
村瀬 敏之 鳥取大学, 農学部, 教授 (20229983)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | バクテリオファージ / 鶏 / 大腸菌症 / 発育鶏卵 |
Outline of Annual Research Achievements |
12日齢の発育鶏卵にAPEC株D490を接種し、その2日後における発育鶏卵の死亡率は39%であったのに対し、D490を溶菌するファージ株DF17をD490株と同時に接種した場合の発育鶏卵の死亡率は13%であった。したがって、ファージ接種により鶏胚の防御効果を認めたと考えられたが、生存卵の漿尿液から接種菌株(D490)と同一のパルスフォールドゲル電気泳動パターンを示す菌株(D490-DF17)が分離された。DF17は本菌株に溶菌活性を示さず、吸着率は親株D490の0.3-0.45倍にと低値を示した。したがって、D490から派生したD490-DF17はファージ株DF-17の吸着を阻害する機構あるいは菌体内に注入されたDF17のゲノムを排除する機構により耐性を獲得した可能性が示唆された。D490から派生したD490-DF17を発育鶏卵に接種したところ死亡率は17%であり、D490株のみを接種した場合(上述)よりも低値であったことから、病原性が低下していることが明らかとなった。 APEC株D488を溶菌するファージ株DF10をD488株と同時に発育鶏卵に接種した場合の生存卵からも、D488から派生した菌株(D488-DF10)が分離された。しかし、D488-DF10に対するファージDF10の溶菌活性及び吸着率は親株のD488に対する値と差が無かった。また、D488-DF10の発育鶏卵接種試験における死亡率はD488と同程度であった。このことから、D488-DF10にはファージ耐性の獲得や病原性に係る表現型の変化が生じていないと考えられた。したがって、D488を溶菌するファージ株DF10をD488株と同時に発育鶏卵に接種した場合における鶏胚死亡の抑制に係る要因を明らかにすることが、本モデルにおけるファージの有効性の理解につながると考えられた。
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