2017 Fiscal Year Research-status Report
犬の悪性腫瘍由来マイクロパーティクルによる凝固活性化とDICの診断・治療への応用
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16K08051
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
馬場 健司 山口大学, 共同獣医学部, 准教授 (90452367)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マイクロパーティクル / 組織因子 / 犬 / 悪性腫瘍 / DIC |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,犬の悪性腫瘍に続発する播種性血管内凝固(DIC)における組織因子由来凝固促進活性(TF-PCA)の診断マーカーとしての有用性および将来的な治療ターゲットとしての可能性を検討することである。DIC診断マーカーとしての有用性については,前年度より引き続き犬の症例における血漿中TF-PCAの測定を行った。血漿中TF-PCAは,DIC群において上昇している傾向が認められたが,その他の群と比較して統計学的な有意差は認められなかった。一方,多くの症例において,血液凝固異常の改善とともに血漿中TF-PCAの低下が認められたため,治療マーカーとしての有用性が示唆された。その他のデータの詳細については現在解析中である。治療ターゲットとしての可能性については,いくつかの薬剤について,犬の腫瘍細胞株(血管肉腫,悪性黒色腫,乳腺腫瘍,リンパ腫)を対象としてin vitroにおけるマイクロパーティクルの放出阻害作用を検討した。その結果,いずれの薬剤についてもマイクロパーティクルの放出を特異的に阻害する作用は認められなかったが,シンバスタチンでは多くの細胞株で強い細胞傷害作用が認められた。これまでの研究から,シンバスタチンは腫瘍細胞にアポトーシスおよびG0/G1期における細胞周期停止を引き起こすことが明らかとなった。その抗腫瘍効果のさらなる詳細については現在解析中である。なお,前年度からの課題であった犬の血漿中TF含有マイクロパーティクルの由来細胞の解析については,抗体の感度不足や必要な検体量の問題から解析を中止した。代替としてマウスモデルでの解析を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遅延の一番の理由として,当初予定していた犬の血漿中TF含有マイクロパーティクルの由来細胞の解析が抗体の感度不足や必要な検体量の問題の解決に至らず,解析を中止せざるをえなかったことがあげられる。それにより,当初予定していたマウスモデルを用いた実験の計画が遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroのシンバスタチンを用いた解析において抗腫瘍効果が認められたため,その作用機序の解析を行う。また,in vivoの解析として,犬腫瘍移植マウスモデルを用いて血漿中腫瘍由来マイクロパーティクルおよびTF-PCAの解析を行うとともに,シンバスタチンの抗腫瘍効果および血漿中TF-PCAに対する効果を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
H29年度にマウスモデルを用いた実験を予定していたが,計画の遅延により実施できなかったためその分の未使用額が生じた。H30年度の経費と合わせてマウスモデルの実験に使用する。
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