2018 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of therapeutic strategy for feline coronavirus infection targeting viral cell entry process
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16K08053
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
遠藤 泰之 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 教授 (90332600)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 猫伝染性腹膜炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
猫伝染性腹膜炎(FIP)は猫コロナウイルス(FCoV)感染にともなう致死性の疾患であり、感染予防に関してはワクチンも存在しない ため、猫の臨床現場ではしばしば問題となる疾患である。しかしFIP発症猫に対する治療は、対症療法が行われているに過ぎず決定的な治療法の確立には至っていない。したがってFIPの治療法の確立は、小動物臨床の分野において早急に行っていかなければならない事項となっている。これまで抗ウイルス薬を含め、いくつかの治療法が考案されてきたが、これまでとは異なるアプローチが必要であると思われる。そこで本研究では、FCoVのレセプターに着目し、FcoVのレセプター利用の詳細な機序を解明するとともに、レセプターを標的とした積極的な抗ウイルス療法を確立するために本研究を計画した。本研究期間内には、まずI型およびII型FcoVのレセプターの同定とウイルスエンベロープ蛋白とレセプターの結合領域の同定を試み、さらにウベニメクスの猫APN上の競合部位の同定、および新規レセプター候補分子が発見された場合にはそのリガンドの検索を実施し、ウイルスレセプターとウイルス蛋白、ならびに結合阻害物質との相互機序を解明する。これらを行った後、実際にウベニメクスならび新規レセプターの阻害物質による、FcoV実験感染猫 におけるウイルス増殖抑制効果について具体的な検討を行うこととしている。昨年度から引き続き、II型FcoVのレセプターがC末端を細胞外領域 とする膜貫通型のエキソ型酵素であるアミノペプチダーゼNであることに着目し、競合拮抗型のAPN阻害剤であるウベニメクスの濃度依存性抗ウイルス増殖抑制効果を確認したが、I型FcoVのレセプターの同定には至らなかった。
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