2017 Fiscal Year Research-status Report
牛乳腺組織における5-HT-PTHrP系の泌乳に対する役割
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16K08064
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
恩田 賢 麻布大学, 獣医学部, 教授 (70308302)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | PTHrP / 牛 / 乳腺 / 胎盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
牛の乳腺組織における5-HT(セロトニン)-PTHrP系が、泌乳とカルシウム代謝に対してどのような役割を持つのか明らかにするために、平成28年度に続き以下のように研究を実施した。 1.ウシ乳腺組織由来培養細胞を用いた実験: カルシウム濃度の変化に対するのPTHrP分泌への影響を、これまでもbMEC(Yonezawa et al., J. Dairy Sci. 87(8):2527-34, 2004)はじめ数種のウシ乳腺組織由来培養細胞で行ってきた。平成29年度はMAC-T細胞(Huynh et al., Exp. Cell Res. 197(2):191-9, 1991)を入手することが出来たので、これを用いて実験を開始した。その結果、PTHrPの発現プロファイルが明らかに他の乳腺細胞と異なる事を確認し、現在は泌乳分化の誘導条件を検討中である。 2.牛の胎盤を用いた実験: 乳汁が哺乳子牛に対する唯一の栄養源だとすると、胎盤は胎子に対する唯一の栄養供給源である。PTHrPは胎盤においても胎子へのミネラル供給に大きく関与すると考えられる。そこで、乳牛の帝王切開時に臍帯動静脈と母牛の血液、胎盤節(胎子側と母体側)の組織などを採取し、PTHrPやミネラルの濃度、関連する各種遺伝子の発現状況を検討した。その結果、いくつかのミネラルについては胎子側で、あるいは母体側で有意な高値を示し、胎盤がその濃度勾配を作っていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.ウシ乳腺組織由来培養細胞を用いた実験: MAC-T細胞のPTHrP発現プロファイルは明らかに他の乳腺細胞と異なり、泌乳期乳腺上皮細胞の性質をより反映している可能性がある。今後はこの細胞を用いて、カルシウム濃度とPTHrPの関係を検討する。 2.牛の胎盤を用いた実験: 臍帯動静脈と母牛の血液のミネラル濃度を比較したところ、いくつかのミネラルについては胎子側で、あるいは母体側で有意な高値を示し、胎盤がその濃度勾配を作っていることが示唆された。この内容については第160回日本獣医学会学術集会(鹿児島大学・2017年9月15日)において、「ホルスタイン種乳牛における母子間と臍帯動静脈血間のミネラル濃度の差異(末元ら)」として報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度であるため、研究の推進と成果の公表にも積極的に取り組みたい。 1.ウシ乳腺組織由来培養細胞を用いた実験: MAC-T細胞の泌乳分化誘導条件を確立し、泌乳期乳腺組織として研究に用いる。これまで用いてきた乳腺組織培養細胞(泌乳期と確認できない・腫瘍細胞の性質が強い)とのカルシウムへの反応の違いを検討することにより、PTHrPのウシにおける生理作用を明らかにしたい。 2.牛の胎盤を用いた実験: 平成29年度に得られた結果に加え、胎盤組織(胎子側と母体側)におけるPTHrP遺伝子発現について、新知見を得た。これについては、第30回世界牛病学会2018札幌で、「Influence of the placental parathyroid hormone-related protein for parturient disorders in dairy cows(Kazama et al.)」として報告する予定である。
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[Journal Article] Control of Pseudomonas mastitis on a large dairy farm by using slightly acidic electrolyzed water.2017
Author(s)
K. Kawai, Y. Shinozuka, I. Uchida, K. Hirose, T. Mitamura, A. Watanabe, K. Kuruhara, R. Yuasa, R. Sato, K. Onda, H. Nagahata.
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Journal Title
Anim. Sci. J.
Volume: 88(10)
Pages: 1601-1605
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] A nasal osteoma with an acute course in a Japanese Black heifer.2017
Author(s)
R. Sato, Y. Une, H. Madarame, H. Hanami, E. Kanai, H. Murakami, A. Tsukamoto, T. Suzuki, H. Ochiai, M. Kikuchi, H. Tanaka, K. Onda.
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Journal Title
J. Vet. Med. Sci.
Volume: 79(7)
Pages: 1220-1224
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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