2016 Fiscal Year Research-status Report
クマにおける冬眠中のエネルギー代謝制御に関わる血中分泌型microRNAの探索
Project/Area Number |
16K08067
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
下鶴 倫人 北海道大学, 獣医学研究科, 准教授 (50507168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 充功 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 准教授 (20632467)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 冬眠 / マイクロRNA / ツキノワグマ |
Outline of Annual Research Achievements |
クマ類が示す冬眠は、体脂肪を唯一のエネルギー源とする絶食状態において、代謝異常を伴わずに生命活動を長期間維持できる点で、他の冬眠性哺乳類にはない特徴を有している。本研究は、冬眠中のエネルギー代謝を協調的に制御するための臓器間コミュニケーションが存在するのではないかとの仮説のもと、血中分泌型マイクロRNA(miRNA)の代謝制御への関与の有無を明らかにすることを目的としている。平成28年度は冬眠中に発現が変化する血中分泌型miRNAの網羅的探索に関わる研究を実施した。研究にはクマ飼育施設で管理されている成獣メスツキノワグマ4頭を供試し、活動期(7月)および冬眠期(2月)に同一個体よりサンプリングを実施した。クマを麻酔により不動化した後、頸静脈より血液を採取した。得られた血液は遠心分離後、血漿を分離し―80℃にて保管した。また、骨格筋(外側広筋)、皮下白色脂肪、肝臓組織の一部についてバイオプシー法によりサンプリングを行い、得られた組織を急速冷凍後、―80℃にて保管した。その後市販キットを用いて血漿中よりエクソソーム分画を単離し、トータルRNAの抽出を行った。クオリティチェックの結果、すべてのサンプルより十分な質・量のRNA(miRNAを含む)が得られたことを確認できた。得られたRNAよりライブラリを作成し、次世代シークエンサーを用いた網羅的発現解析に向けた準備を整えたところである。今後は、本解析で得られた結果を元に研究を進展させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
活動期および冬眠期のツキノワグマより、計画通りサンプルを採取することができた。また、miRNAの網羅的発現解析に使用できる質・量のRNAを抽出することができた。これらのことから、研究は順調に進展しているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたRNA試料を用いて次世代シークエンサーを用いた発現解析を実施する。また2016年度と同様のサンプリングを実施し、上記解析で得られた結果を、リアルタイムPCRを用いて再確認する予定である。また、血中で発現の変化が認められたmiRNAについて、各組織における発現変化を解析する予定である。
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Causes of Carryover |
次世代シーケンサーを用いたmiRNA発現解析を次年度に行うこととしたため、本解析に関連する使用額(解析費として約50万円、関連する消耗品日として約40万円)を次年度に持ち越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、次世代シーケンサーを用いたmiRNA発現解析関連費用として約90万円(解析費として約50万円、関連する消耗品日として約40万円)を、研究の実施場所であるくまくま園(北秋田市)への旅費(計3回のサンプリングを実施)として約30万円を、遺伝子解析等に用いる消耗品費として約65万円を、成果発表費(学会参加費など)として約5万円を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)