2018 Fiscal Year Annual Research Report
The role of Ca2+ homeostasis in hippocampal synaptic transmission and plasticity
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16K08070
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 公一 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任准教授 (50330874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 正貴 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (30205273) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 加齢 / Ca2+ホメオスタシス / シナプス / 長期増強 / 記憶・学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢に伴い記憶・学習を始めとする認知機能が減弱するメカニズムは明らかになっていない。記憶・学習には海馬神経細胞が大きな役割をもっており、神経細胞の機能は細胞内Caホメオスタシスの基に一定に制御されている。そのため、細胞内Caホメオスタシスが加齢性に崩壊することが認知機能低下の原因だと考えられ、このことは前年度の研究により定量的に明らかとなった。本年度は引き続き、加齢によって発現が変化するCaホメオスタシス関連分子軍の探索を目的とした。まず、老齢個体においてNMDA受容体の活性化の抑制の原因とされるSK (小コンダクタンスCa2+活性化K+)チャネルをターゲットとした。SKチャネルの活性化がLTP減弱の一因となっている可能性を検討したところ、その関与は観察されなかった。次に、リアノジン受容体をターゲットとし、加齢とともに増加するリアノジン受容体の発現量が不要な細胞内Ca2+上昇の原因となるか検討したところ、これも関与は薄いことが明らかとなった。続いて前年度までに取得したデータからシナプス前終末のCa2+排出関連蛋白質に加齢性変化が起こっていることが予想されていたため、シナプス前終末のCa2+クリアランスの加齢性変化が海馬LTPに与える影響に着目し、SERCA(小胞体Ca2+ポンプ)およびCa2+クリアランスへの寄与が大きいとされるNCX (Na+-Ca2+交換輸送体)の加齢性変化について検討を行った。この結果、これらのCa2+排出関連蛋白質の関与も薄い可能性が示唆された。本年度の結果をまとめて考察したところ、加齢性に減弱するLTPにおいて、細胞内の他のCa2+結合タンパク質やSNARE複合体などのシナプス小胞放出関連因子が関与する可能性が残された。
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Research Products
(5 results)