2016 Fiscal Year Research-status Report
ハチとハエの光周性に関わる概日時計と日長測定機構の分子・神経生物学的解析
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16K08101
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
後藤 慎介 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70347483)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 昆虫 / 光周性 / 休眠 / 概日時計 |
Outline of Annual Research Achievements |
(概日時計細胞の探索:キョウソヤドリコバチ)キョウソヤドリコバチPER抗体を用いた免疫組織化学では特異的なシグナルが得られなかったので,セイヨウミツバチの概日時計細胞の解析を行っている京都大学の渕側太郎氏に相談し,セイヨウミツバチの概日時計細胞の探索で実績のあるPER抗体を譲り受けた.この抗体を用いたところ,弱いながらも特異的と考えられるシグナルが得られた.現在さらなる解析を行っている.(概日時計細胞の探索:ナミニクバエ)キイロショウジョウバエPER抗体を用いた免疫組織化学により,概日時計細胞と考えられるLateral Neurons (LNs),Dorsal Neurons (DNs)を明らかにした.これらの細胞におけるPER免疫染色性の時間的変化についても明らかにした.(時計からの出力分子の同定:キョウソヤドリコバチ)概日時計出力に係ると考えられるPDF, NatのRNAiを行ったものの,光周性への影響は見られなかった.一方,麻酔薬イソフルランによって歩行活動リズムを制御する概日時計の位相を変化させられることが明らかになった.(日長測定の分子機構,RNAseq:キョウソヤドリコバチ,ナミニクバエ)長日あるいは短日で飼育したキョウソヤドリコバチの頭部を明期開始直後にサンプリングした.ナミニクバエにおいては光誘導相の位相に光が当たったサンプル,当たらないサンプルをサンプリングした.これらのサンプルからRNAを抽出し,RNAseqを外部委託した.12サンプルから約8億リードを得た.この配列をもとに発現解析を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の計画通りに進んでおり,期待通りの成果も得られている.特に,キョウソヤドリコバチの時計細胞が明らかになりつつあるので,今後の成果に期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
(免疫組織化学:キョウソヤドリコバチ)セイヨウミツバチ抗体を用いた免疫組織化学を鋭意進め,概日時計細胞を明らかにする.また,日長測定をつかさどる時計細胞を推定するため,一日の中の様々な時刻(位相)でサンプリングを行い,免疫組織化学を行い,PERの免疫染色性の違いを調べる.(免疫組織化学:ナミニクバエ)ある時期を境にキイロショウジョウバエPER抗体による染色にトラブルが発生し,いまだ原因がつかめていない.問題の解決に努力する.(日長測定の分子機構)RNAseqデータの解析を進め,短日・長日あるいは光誘導相への光の有無に応じて特異的に反応して発現が増大するmRNAを推定する.またqPCRを用いて発現解析を行う.
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Causes of Carryover |
RNAseq解析に時間がかかったため,以降の実験が次年度に繰り越しになった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
速やかにRNAseq解析を進め,以降の実験を速やかに進める.計画通り速やかに使用する.
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