2018 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular and neurobiological dissection of the circadian clock and the photoperiodic time measurement system involved in photoperiodic responses of wasps and flies.
Project/Area Number |
16K08101
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
後藤 慎介 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70347483)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 光周性 / 昆虫 / 概日時計 / 内分泌系 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに得られたナミニクバエのRNAseqデータから,日長測定に重要な光誘導相(φi)に光を当てた場合と当てない場合で発現量が変化するコンティグを探索した.その結果,光を当てた場合に発現が誘導されると考えられるコンティグを複数得た.そのうちのいくつかの遺伝子,さらに光周性への関与が示唆されるいくつかの遺伝子について,新たなサンプルを用いてRT-qPCRによる発現解析を行った.しかしながら,光の有無によって発現量が変化する遺伝子は見られなかった.日長測定時に起こる遺伝子発現の変化はわずかであり,その検出は困難であることが考えられた.本種は雌雄で日長測定に違いがあることが,これまでの研究から明らかになっている.今年度,日長測定を行うステージである幼虫の性を遺伝子発現をもとに区別する方法を開発できた.これにより,性による日長測定機構の違いを明らかにする研究へとコマを進められるようになった. キョウソヤドリコバチは母親が感受した光周期情報を卵(子世代)に伝えることで,次世代の休眠運命を決定する.本種の母親における遺伝子発現を比較したところ,幼若ホルモン合成遺伝子の発現が長日・短日で大きく異なることが明らかになった.また,母親でこの遺伝子の発現を抑制すると,子世代の休眠率に影響が見られた.さらに,母親に幼若ホルモンを塗布すると子世代の休眠率が変化することがわかった.これまでのところ,日長測定に関わる分子は不明であるが,その下流には幼若ホルモン合成系があることが明らかになった. 上記の研究に加え,今年度はこれまでの成果の発表に注力した.ナミニクバエの日長測定機構の地理系統差・性差に関してデータを取りまとめ,時間生物学の国際誌で発表した.キョウソヤドリコバチの休眠制御機構に関して,昆虫生理学の国際誌で発表した.また,これまでの光周性と休眠に関する知見を取りまとめた総説を発表した.
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