2018 Fiscal Year Annual Research Report
Agroecological Research for Small-Scale Sustainable Agricultural Systems based on the Regional Resources
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16K08117
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
宮浦 理恵 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (00301549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 健治 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (80349810)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アグロエコロジー / インドネシア / 淡水養魚 / 富栄養化 / 資源循環 / 小規模農業 / 植物利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域内の作物生産、家畜飼育や養魚との連携による資源循環とエネルギー効率について検証するために、現地実態調査および養殖池の試験区分析を実施した。 中部ジャワの畜産農家の実態調査では、周辺の稲作農家から収穫後の稲わらや米糠をもらい受けることで牛と豚の飼料の自給が実現されていた。また振興の野菜作地帯(カランアニャル県ゴンドスリ村)では牛の飼養が行われていたが、ナピアグラスの栽培で飼料を供給しており地域植物資源の利用が一般的であった。 つぎに養殖池の水質の改善を目的として、西ジャワ・インドネシア科学院(LIPI)の敷地内に設置された試験池において、太陽光を動力源とした循環ポンプを導入した。水深約60cmの試験池における水深10cmと50cmでの溶存酸素(mg/L)の差分を経日的に評価したところ、循環ポンプを導入しない池では平均4.2に対して、ポンプの導入により1.9まで減少した。この結果は、水中の藻類などが光合成により、速やかに表面付近の溶存酸素濃度を上昇させ、さらにポンプで底面の水を汲み上げて循環させることで試験池の全層の溶存酸素濃度を上昇させることを明らかにした。対象地域は生活用の電力供給すら整備されていない状況であるため、太陽光を動力源とした循環ポンプの導入が必須となり、本法による養殖池の水質改善と養殖技術の向上が期待できる。 小規模農家は植物資源の活用に関しては雑草や作物残渣、栽培した牧草の利用を積極的に行ない家畜の飼養に循環させていることが明らかになった。しかし、養魚に関しては、過剰な有機物の施用と給餌により水質汚染を引き起こしており、同時に酸欠状態で魚が成育していることから技術的に改善が必要であることがわかった。太陽光を原動力とした安価な循環ポンプの導入で養殖技術が改善できる可能性を認めたので、今後、農民への技術普及の段階へと移行することで地域資源を活用した持続的農業システムの実現が期待できる。
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