2018 Fiscal Year Research-status Report
Robust genetic program for biological containment of environmentally invasive organisms
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16K08121
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
加藤 祐輔 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 主席研究員 (60214409)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生物学的封じ込め / 合成生物学 / 発現系 / 非天然アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
エスケーパーの発生頻度の抑制、および導入遺伝子の拡散の防止を目的に、非天然アミノ酸依存性による生物学的封じ込め技術の改良をおこなった。 ヨウ化チロシン導入系と単独の毒素-抗毒素ColE3-ImmE3を用いたプロトタイプの封じ込め遺伝回路では、エスケーパーの発生率は約10万分の1にとどまり、構成する2つのプラスミドのうち毒素-抗毒素が座乗しない1つは遺伝子拡散を防止する仕組みは導入されていなかった。 本年度は、まず非天然アミノ酸導入系を、より厳密性の高いスイッチング性能をもつものに置換することにより、エスケーパーの発生率を10-100分の1程度に抑制することに成功した。さらに、ColE3-ImmE3に加えて、2つの新たな毒素-抗毒素(Kid-KisおよびCcdB-CcdA)の有効性を確認した。そのうえで、2つないし3つの毒素-抗毒素系を1つのシステムに導入した、より強固な封じ込め遺伝回路を構築したところ、エスケーパーの発生率を、NIH基準(1億分の1以下)より低い、10億分の1以下(定量検出限界以下)に抑制することができた。また、複数の毒素-抗毒素系を、回路を構成する2つのプラスミドに分散して座乗させることにより、プラスミドを複製できる近縁種の細菌では、非天然アミノ酸が存在しない自然環境下において、プラスミドが抗毒素を発現できずに遊離毒素のみを産生する結果、宿主を殺す仕組みを構築した。これにより、組換え遺伝子を含むプラスミドの伝達を防止できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である、エスケーパーの発生頻度の抑制、および導入遺伝子の拡散の防止について、当初の目標レベルに達する性能をもつ封じ込め遺伝回路を構築することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに高度な堅牢性をめざして、わずかに検出されるエスケーパーの遺伝的変異を同定し、その発生を抑制する対抗手段の開発をめざす。
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Causes of Carryover |
エスケーパーの変異解析が、本年度中に完了できなかった。次年度に、その解析と対策を行う予定であり、その費用を繰り越した。
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