2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K08125
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
伊藤 弘 筑波大学, 芸術系, 准教授 (60345189)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 富岡製糸場 / 観光地整備 / 周辺地域 / 平泉 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界遺産に登録されている富岡製糸場を対象に、周辺地域との関係から見出される価値を整理した。富岡製糸場が建設された鏑川近くの空いている屋敷用地を守るために、街道が鉤型になっており、その角には屋敷を保護するための寺社が建設されており、街道と敷地の関係が見出された。また、街道から一街区入った場所には歓楽街が古くからあり、富岡製糸場設置後は見学者などが利用していたと考えられる。現在も、置屋建築はいくつか現存している。一方、富岡製糸場に資材などを運ぶための停車場が整備され、そこを起点とした街路(停車場通り)に沿って明治37年には公園が整備されているのが確認された。このように、富岡製糸場はその敷地が町の骨格を形成し、建設されたことによって近世以降の歓楽街を維持し続けるとともに、停車場および公園の整備という近代化をもたらしたといえ、周辺の町に大きな影響を及ぼしたといえる。 現状では、富岡製糸場と周辺地域とを結ぶ計画はなく、それぞれ独立した保存活用計画等の計画が策定されている。観光地整備を検討するに当たっては、来訪者の回遊行動を踏まえた検討が求められており、上記の史実を踏まえた新たな関係づくりが求められる。そのためには、例えば富岡製糸場を含んだゾーニングなどが必要となる。 一方、富岡製糸場内部では、生産ラインと社宅および工女寄宿所との関係が体験できるようになっておらず、工場内での人や物の動きが分かる状況になっていなかった。見学順路の設定および名づけによる、工場内外での人および物の動きの理解促進が期待される。 平泉においては、浄土ヶ浜や松島など浄土に見立てられた他地域との比較から、平坦な土地に山や島があり、一部岸や川などで閉じた境界のある景観が浄土に見立てられた可能性があり、水田によって平坦地が担保されていることから、営農と平泉観光を結び付ける必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は富岡製糸場の、世界遺産登録とは異なる価値づけの検討を行い、その観光利用への検討を行った。また、平泉における浄土景観の見立てを考察し、その上で他産業と平泉観光を結び付ける意義を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
石見銀山(大田市)、富岡製糸場および平泉における現在の観光計画との関連性を検討し、今まで得た知見を踏まえた組み込み方および空間としての観光地整備を検討していく。
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Causes of Carryover |
現地調査の日程を確保できなかった。資料収集が終了しておらず、謝金使用しなかった。
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Research Products
(7 results)