2016 Fiscal Year Research-status Report
市街地縁辺部における管理放棄地のパブリックオープンスペースとしての再生手法
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16K08126
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
柳井 重人 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 准教授 (30241946)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | オープンスペース / 管理放棄地 / 樹林地 / 農地 / 都市公園 / 市街地縁辺部 / マネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究では、市街地縁辺部の管理放棄地とパブリックオープンスペースに係わる諸概念を整理しつつ、管理放棄地を含む緑地のパブリックオープンスペースとしての再生に係わる取り組み事例について、文献資料調査、現地踏査や関係者へのインタビュー等を実施した。 本研究に関連する国内の取り組み事例として、狭小公園の利用促進、公共施設用地の暫定的利用、民有地(空き地)の暫定的利用、農地の公共的利用、管理放棄樹林地の再生と公開等が挙げられた。これらのうち、主として、①狭小公園の利用促進に係わる地区単位での公園機能の再編、②都市農地の防災的利用(防災協力農地)の実態や課題、③民有樹林地の再生・公開の実態や課題に関して検討を進めた。 ①では、札幌市、北九州市、東京都内の自治体の取り組みを事例に、地区単位での公園機能の再編の効果はもとより、公園機能の再編時における地区設定の範囲、機能タイプ設定、地域住民の理解促進等における実態と課題を明らかにした。②では、農地の利用可能性を検討するために防災協力農地制度を取り上げ、東京都内を中心に、指定対象農地の区分、災害時用途、関連主体(所管部署、土地所有者、JA、地域住民等)間の連携体制、地域住民に対する広報や普及啓発等の実態と課題を明らかにした。③に関しては、大阪府岸和田市や千葉県松戸市等の事例について、管理放棄された樹林地の保全・再生・公開のプロセスや、行政や市民団体の認識等を整理した。これらのうち、①および②の成果の一部は、日本造園学会関東支部大会でポスター発表を行った。 なお、以上の研究を進めるなかで、管理放棄地の類型ごとの取り組みの必要性はもとより、一定範囲の地区において、多様な管理放棄地を、統合的にマネジメントする方策の必要性についても認識された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度末までに実施する予定であった、管理放棄された民有樹林地の再生と公開に関するアンケート(来訪者を対象)を、実現性や効率性等を勘案して、民有樹林地の公開イベントが実施される平成29年5月にすることとした。このため、当初予定よりも、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、平成28年度末までに実施予定であった、管理放棄された民有樹林地の再生と公開に関するアンケート(来訪者を対象)を実施するほか、ケーススタディを設定して、実地研究を主として実施する。 すなわち、ケーススタディのために具体的な研究対象地において、当該都市や地区の市街地縁辺部の土地利用の特性、耕作放棄地、民有樹林地、未活用の公共施設用地、利用の乏しい狭小公園、住宅団地内の空き地等の多様な管理放棄地の分布特性・種別、パブリックオープンスペースとしての再生のプロセスを把握するとともに、関連する主体およびその認識、利害関係者間との連携と協働の状況等を、現地視察,文献・資料調査,アンケート・インタビュー等を通して把握する。そして、個別の空間の再生手法はもとより、一定の空間的広がりを有する地区において、管理放棄地を含む多様な空間を再生し、連携的な活用を図ることができるような方策を検討するための知見を得る。 なお、国内外の先進事例のレビューや視察調査は、継続して実施する。
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Causes of Carryover |
本研究では、平成28年度中に、管理放棄された樹林地の再生・公開の効果、課題や可能性を探るため、来訪者に対するアンケートを実施する予定であった。当該アンケートの準備をするなかで、その実現性や効率性等を勘案した結果、平成29年5月に開催される樹林地の公開イベントにあわせて実施することとした。そのため、関連アンケートの作成や実施に係わる人件費・謝金等に係わる支出が、平成29年度に繰り越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年5月20日~27日にかけて開催される民有樹林地の公開イベントである「オープンフォレストin松戸」(松戸市内)において、来訪者に対して、管理放棄された樹林地の活用等に係わるアンケートを実施する予定である。すでに、平成29年3月末までに、アンケートの内容や実施に係わる骨子を定め、あわせて当該イベントの運営主体に実施に関する協力を依頼して了承を得ている。平成29年4月~5月上旬かけて、設問項目、アンケート票の印刷、人員の配置等を決定して、上述した民有樹林地の公開イベント中にアンケートの配布・回収を行う予定である。
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