2018 Fiscal Year Research-status Report
市街地縁辺部における管理放棄地のパブリックオープンスペースとしての再生手法
Project/Area Number |
16K08126
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
柳井 重人 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 准教授 (30241946)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オープンスペース / 管理放棄地 / 樹林地 / 農地 / 都市公園 / 市街地縁辺部 / マネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
首都圏近郊都市として、千葉県松戸市を研究対象地として選定し、以下の調査を進めた。 第一に、住区基幹公園等の身近な公共的オープンスペースの配置との関連性で、樹林地、農地、空き地の分布実態を把握した。土地利用データとGISを用いて分析した結果、住区基幹公園等の身近な公共的オープンスペースが不足している地域が存在すること、当該地域では、樹林地、農地、空き地が混在する場合があること、これらの暫定的かつ公共的なオープンスペースとしての利用可能性の検討が課題であること等が示唆された。 第二に、市の要綱で規定され、公有・民有の土地(空き地)を子どもの遊び場等として整備・公開する「子どもの遊び場」の取り組み実態と課題を、市の担当課へのインタビュー、文献資料調査、利用実態調査を通じて把握した。その結果、67%の「子どもの遊び場」が住区基幹公園と近接(250m以内に立地)していること、1000㎡を超える「子どもの遊び場」では、地域の祭り、スポーツイベント、防災訓練などの多面的な利用がみられること、日常的にはグラウンドゴルフ、サッカー、野球等の団体球技で利用され、身近な公園との使い分けがみられること等が明らかになった。 第三に、管理放棄された民有樹林地の再生・公開活動を対象に、子どもの自然体験活動の場としての樹林地の可能性や課題等を、樹林地の来訪者等へのアンケート、樹林地の保全団体や子育て団体へのインタビューを通じて把握した。その結果、子育て世代は、子どもの遊びや体験の面で、公園では困難な活動ができる樹林地の利用への期待が大きいこと、保全団体と子育て団体との協働、役割分担による運営が重要であること、保全団体と子育て団体との活動のマッチングが課題であること等が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
より精緻な研究成果を得るために、研究対象地(松戸市内)において、管理放棄樹林地、耕作放棄農地、空き地、暫定的に確保された緑地(松戸市設置の「子どもの遊び場」)、都市公園等を含むオープンスペースの分布等について、追加調査を行う必要がある。 また、これまでの研究成果に対して学術的な評価を得るとともに、広く公表するために、学会発表や論文投稿を予定している。 さらに、2018年度の成果を含め、これまで実施した複数の調査結果や先進事例の動向を統合し、それらの議論や考察を通じて、総合的な研究成果とする必要がある。 以上のことから、現在までの進捗状況を「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究対象地(松戸市内)において、管理放棄樹林地、耕作放棄農地、空き地、暫定的に確保された緑地(松戸市設置の「子どもの遊び場」)、都市公園等を含むオープンスペースの分布等について、追加調査を行う。現状では、土地利用データに基づくGISによる分析を主としているが、より精緻な分布実態を明らかにするため、特定地区を選定して、現地踏査により土地利用実態調査を実施する。 また、学会発表(ポスター発表、口頭発表等)や論文投稿に関しては、日本造園学会、日本都市計画学会、環境情報科学センター等を予定する。 以上を含め、これまでの成果について総合的に考察し、本研究の成果とする。
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Causes of Carryover |
より精緻な研究成果を得るために、追加調査を行うとともに、これまでの研究成果に対して学術的な評価を得るとともに、広く公表するために、学会発表や論文投稿を予定している。 このため、次年度使用額としては、特に、学会発表や論文投稿の登録料、審査料、掲載料等の費用を予定している。
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