2019 Fiscal Year Annual Research Report
Revegetation of serpentine/diorite quarry areas using Japanese wild thyme from high Mg soil
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16K08127
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
水野 隆文 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (50346003)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イブキジャコウソウ / 国産タイム(和タイム) / ハーブ / 緑化 / 蛇紋岩 / 香気成分 / シカ忌避 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終年度となる2019年度は,①新たなイブキジャコウソウの地域品種収集とその配付に向けた準備,②採石場以外の条件における緑化能力の比較,③含有香気成分の分析およびシカ食害の回避能力の有無について検討を行った。①については新たに北海道むかわ町坊主山の蛇紋岩土壌地帯に自生する原産種と長野県安曇野の河川敷に分布する品種を入手し,東日本を中心とした7品種の入手と栽培方法の確立に成功した。これらのうち5品種について,田畦および日陰斜面(いずれも三重大学内),および三重大学演習林の斜面崩落地において移植および活着能力を確認した。その結果,高温環境においてはイブキジャコウソウの生育能力には大きな違いが認められ,三重県の気象下においては,三重鳥羽市菅島のものが最も生育がよく,強い繁殖を示したのに対し,試験に供した中で最も北である青森県竜飛岬を原産とするものは生育が弱く,特異的な病斑が認められた。以上のことから,緑化におけるイブキジャコウソウの活用は地域間の品種交雑を避ける目的だけではなく,緑化地の環境適応の観点からも地域特異品種を用いるべきことが明らかとなった。本植物に含まれる香気成分については3年目のデータを収集し,原産地と含まれる成分との相関について明らかにすることができた。特に本植物の高い抗酸化活性(ホウレンソウの約18倍)が明らかとなった。一方,各種の香気(および辛み)がシカによる被食を回避し,緑化植物として高いポテンシャルを有すると考えられたが,三重大学演習林での設置試験の結果としてイブキジャコウソウはシカの被食を回避し得ないことが判明した。 以上の成果を緑化問題を抱える三重県鳥羽市に報告し,現在地域原産種による緑化が検討されるに到った。今後本研究成果が現地で活用されることになるものと期待される。
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