2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mountain accident reduction by consensus formation and information sharing through risk communication
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16K08132
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
小林 昭裕 専修大学, 経済学部, 教授 (60170304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JONES THOMAS 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 准教授 (50611745)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 山岳遭難 / リスク管理 / 山域 / 年齢 / ヒヤリハット / 遭難記録 |
Outline of Annual Research Achievements |
リスクコミュニケーションの基盤構築を図るため、研究は2つのアプローチを採用した。一つは県警察が保有する山岳遭難記録に基づく実態の把握と要因の推定である。もう一つは、登山者の視点から見た山岳遭難につながるとみられるリスクの認識構造を捉えることである。そして、遭難実態と意識の間に乖離があるならば、リスクコミュニケーションを通じ、解離を小さくする道筋を用意する必要があると考えた。 研究の結果、要因の分析山岳事故遭難の危険性が,登山者のリスク対応能力と登山行程の難易度との適合度に左右されるという説を参考に,山岳遭難事故の多い長野,岐阜,富山3 県の遭難動向に着目し,山岳遭難事故急増の背景を分析し軽減策を検討した。その結果,3 県を統括して扱う前に、各県内の山岳遭難事故特性を把握する必要があると判断された。長野県における2010 年以降の山岳遭難件数の急増は,登山者数の増加と,遭難発生確率の上昇に依ると推認された。山域毎に遭難特性に違いがあること,同時に,年齢層で滑落防止やバランス維持能力,定位能力等に違いが認められたことから,これらの特性に基づき遭難対策を立案する必要があると考えられた。 意識面から、遭難発生は,一連の要因が連鎖することによって起きるとされる。本研究では要因の連関を把握する始動的試みとして,ヒヤリハット体験の主因と背景・間接要因に着目し,要因の関係性,およびヒヤリ体験時の状況や回答者属性による要因の違いなど,要因の特性を検討した。その結果,主要因および背景・間接要因に対する出現頻度の違いや,主要因と間接要因との関係性に一定のパターンが確認された。また,パターンの特性をもとに,要因の連鎖という観点で議論を進める可能性が示された。さらに,主要因に対する回答者の個人属性の違いや,遭難発生時の状況との関連性に相違が認められ,結果の解釈や今後の調査方法上の留意点が確認された。
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Research Products
(5 results)