2016 Fiscal Year Research-status Report
古写真からの3次元情報取得と拡張現実(AR)技術を援用した原景観再現手法の提案
Project/Area Number |
16K08133
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
國井 洋一 東京農業大学, 地域環境科学部, 准教授 (10459711)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 拡張現実 / 建造物 / 原景観 / 再現 / 写真測量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、失われた建造物を含んだ原景観の再現を目指し、申請者が提案した写真測量法による建造物の復元手法によって得られる3次元情報を応用し、建造物およびその周辺の景観を可能な限り現実に近い形で再現することを目的としている。 研究初年度の平成28年度は、AR(Augmented Reality)技術によるシステムの基盤を構築することを目標とした。ARによる3Dモデル表示のためには、大きく分けて2種類の方法が考えられる。一方は、現地でカメラを向けた際に写り込む構成要素を特徴量として捉え、その特徴量と3Dモデルを紐付けすることで表示させるマーカレス式、もう一方は現地での衛星測位によって所定の位置に3Dモデルを配置するGPS(GNSS)式である。前者は特徴量となる不動物体を捉えられるか、後者は上空の視通が確保できるかがそれぞれポイントになるが、建造物に対してはいずれの方法が有用であるかを重点的に検証した。 その結果、一定の大きさを持つ建造物に対してはマーカレス式が有用であることが明らかとなった。その理由として、一般的にARを利用する多くのケースにおいてスマートフォンを用いることが想定されるが、スマートフォンの画面上に建造物全体を表示させるためには遠方から対象地を写し込む必要がある。そのため、マーカレス式によって周囲の景観全体を特徴量として捉える方が安定的であることが確認された。 しかしながら、平成29年度には衛星測位の精度向上を目指して新たな準天頂衛星の打ち上げが予定されていることから、GPS(GNSS)式の精度が向上することも考えられる。そのようなインフラ整備の動向にも注視しつつ、今後の研究の進め方を見極めていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度はシステムの基盤整備を実施し、ARに関する有効な方法の見極めを行うことができた。また、その成果を国際学会における研究発表1件、学術雑誌における資料1件により報告した。また、システムの応用性を示した事例について、国内学会における研究発表1件により報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きGPS(GNSS)式によるARの活用も視野に入れつつ、具体的な対象地を絞って古写真による建造物の再現を行う。対象地は神奈川県小田原市の小田原城であるが、現時点では明治34年(1901)から関東大震災の大正12年(1923)まで二の丸広場に建っており、写真も残されている御用邸が候補である。すなわち、景観再現を実施する時代も明治末期から大正にかけての時期とする。この建造物の古写真に対して写真測量の原理や透視法を適用し、3次元情報を取得する。
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Research Products
(3 results)