2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K08141
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
栂根 美佳 基礎生物学研究所, 共生システム研究部門, 特別協力研究員 (90625592)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イネ / 細胞周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
核内倍加は一部の体細胞が核DNA量を倍加させる現象で、多くの被子植物に見られる。申請者はシロイヌナズナの倍加関連因子として知られるサイクリンA2 (CYCA2)が欠損すると、通常は核内倍加を起こさないイネが倍加を起こすことを明らかにした。シロイヌナズナとイネの間にはCYCA2に関連する異なる倍加制御のメカニズムがあると考えられるが、イネcyca2変異体は2Cと4Cの細胞だけからなることから(G2期の延長)、他の因子が8C以上の細胞が生じるのを抑制していることが示唆される。そこでイネ倍加変異体に加えて、環境因子など外的要因によって倍加細胞が誘導される現象を利用することによって核内倍加に関わる分子機構の解明を目指す。 (1)イネの倍加抑制には複数の因子が関わっている可能性がある。放射線変異体系統では遺伝子の大規模欠損が起きているため、これまでに得られなかった変異体を単離することが期待できる。そこで核内倍加で生じると考えられる形質を示す放射線変異体系統を入手し、解析を行ったが倍加の生じている個体は得られなかった。 (2)単離したcyca2変異体では、CYCA2特異的なC末のドメインに欠損が生じており、弱い変異形質を示している可能性がある。イネにおけるCYCA2の役割とA2特異的ドメインの機能を検証するために、CYCA2を完全に欠失した変異体を作出することにした。現在、形質転換体を再生中である。 (3)マメ科植物に寄生する根粒菌や、多くの陸上植物に感染するアーバスキュラー菌根菌の感染が宿主植物に核内倍加を誘導することが知られている。アーバスキュラー菌根菌を感染させたイネの細胞に巨大化した核を観察することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで核内倍加に関連する因子としてイネCYCA2の解析を行ってきたが、同じ遺伝子の研究結果が他のグループよって報告された。そこで当初の計画を変更し、研究の新規性と精度を上げるための実験を現在実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
マメ科植物に寄生する根粒菌や、多くの陸上植物に感染するアーバスキュラー菌根菌の感染が宿主植物に核内倍加を誘導することが知られている。アーバスキュラー菌根菌を感染させたイネの細胞に巨大化した核を検出できたので、巨大化細胞の核相を調べる。DNA量が増加していた場合には、免疫染色もしくはFISH法により染色体数を同定する。さらに巨大化細胞において核内倍加が生じていた場合には、発現解析を行い核内倍加の誘導をイネで抑制している因子を同定する。 これまで核内倍加に関連する因子としてイネCYCA2の解析を行ってきたが、同じ遺伝子の結果がQu らによって報告された(doi: 10.1093/jxb/ery158)。これまでの結果から核内倍加の誘導は単一遺伝子の破壊では十分ではなかったので、他の倍加関連遺伝子も破壊し、制御因子の同定と機能解析を行う。
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Causes of Carryover |
これまで核内倍加に関連する因子としてイネCYCA2の解析を行ってきたが、同じ遺伝子の研究結果が他のグループよって報告された。そこで当初の計画を変更し、研究の新規性と精度を上げるための実験を現在実施しているため。
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