2018 Fiscal Year Annual Research Report
Molting analysis based on the view of cell biology: mode of action of molting inhibitors and its application
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16K08142
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 謙一郎 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90238105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 好秋 京都大学, 農学研究科, 准教授 (80155689)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | benzoylphenylurea / 筋線維芽細胞 / 線維化症 / 細胞運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニカメイガ表皮真皮細胞の初代培養系の確立に向けた培養条件の検討を行った。培地にニカメイガ胚抽出液を分画し、培地に添加した培養系等や剥離した表皮組織からの真皮細胞の分散方法についても改変を行い、最適条件の検討を行った。しかしながら、表皮真皮細胞の増殖は認められず、表皮真皮細胞培養系の確立には至らなかった。従って、当初の第一目的である脱皮阻害剤 (benzoylphenylurea [BPU])の作用機序に向けた新たな仮説(脱皮過程初期に表皮真皮細胞はEMT的変化により扁平状から円柱状に変化し、細胞運動が亢進するが、脱皮阻害剤BPUはこの変化を阻害するため脱皮阻害が起こる)の検証に関しては満足できる成果を出せなかった。 第二目的である「BPUによる筋線維芽細胞機能阻害機構の解明に向けた研究」では著明な成果が得られた。これまでの研究成果からBPUが上皮間葉転換(EMT)を阻害し、筋線維芽細胞機能を抑制する可能性が示唆された。この検証のため加齢黄斑変性 (AMD)に関わる網膜色素上皮細胞 (RPE)の筋線維芽細胞への形質転換 (EMT)に対するBPUの影響を解析した。AMDは網膜組織での炎症反応により誘導される血管新生とその破綻が引き金となり、RPEのEMTにより派生した筋線維芽細胞が増殖・網膜下組織へ浸潤し、細胞外基質(コラーゲン等)の過剰産生を来す網膜変性疾患である。この結果、線維増殖組織(瘢痕組織)が形成され視細胞にダメージを与え失明に至る。AMDの発症・進展に関連した解析で、BPU類縁体であるBPU17はTGFβ刺激に応答した初代培養ヒト網膜色素上皮細胞 (H-RPE)の細胞運動、細胞増殖及び筋線維芽細胞マーカー(コラーゲンや平滑筋α-アクチン)の発現を著明に阻害した。また、初代培養血管内皮細胞を用いた解析で、BPU17は血管新生を阻害する効能を有することが判明した。
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Research Products
(2 results)