2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K08147
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
畑 信吾 龍谷大学, 農学部, 教授 (40238001)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | クサネム根粒菌 / 形質転換イネ / レグヘモグロビン / サイトカイニンシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
研究担当者が兵庫県篠山市で採取して凍結保存していたクサネム根粒を表面殺菌し、乳鉢乳棒で破砕したあとHM寒天培地(Cole and Elkan (1973) Antimicrob. Agents Chemother. 4: 248-253)に撒いて30度Cで培養したところ多数のクサネム根粒菌候補コロニーを得た。これらのうち10系統を単離し、液体HM培地で培養したあと無窒素培地(Broughton and Dilworth (1971) Biochem. J. 125: 1075-1080)を含む土壌に接種して、表面殺菌したクサネム種子を発芽・生育させた。その結果、非接種対照と比較すると10系統とも明らかにクサネム実生の生育を促進したので、これらがクサネム根粒菌(Bradyrhizobium sp.)であることが証明できた。 次に、国際基督教大学の河内宏教授よりクサネム根粒菌をdsREDで標識するためのpBjGriEL4::dsRed2コンストラクト(Kouchi M., Hayashi, M. and Umehara Y., unpublished; サイズは約8.3 kb)を取り寄せたが、その標品には当初から約3 kbのベクターが混入していたため種々の実験操作に予想外の困難をきたした。そこで再び河内教授より約7.3 kbのストレプトマイシン(Sm)/スペクチノマイシン(Sp)耐性のベクターのみを取り寄せ、それにpBjGriEL4::dsRED2とpBjGriEL4::sGFP(Chiu et al. (1996) Curr. Biol. 6: 325-330)を挿入する方針に切り替えて成功したので、ようやくクサネム根粒菌をdsRed赤色蛍光やsGFP緑色蛍光で標識する目処がたった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
担当者の研究室は新設であってまだ分属学生がいないため、研究は単独で進めざるを得ず、必然的に当初の予定を取捨選択し絞りこんで実験を行った。そのため、イネ形質転換に用いるコンストラクト作成は後回しにしたが、皮層細胞内への感染効率が高いクサネム根粒菌の蛍光標識に関しては、比較的着実に成果が得られたと自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は単離したクサネム根粒菌を系統ごとに蛍光標識し、それらの中から皮層細胞に効率よく感染するものを選ぶ予定であった。しかし研究を進めるうちに、まずクサネム根粒から得た根粒菌を集団ごと蛍光標識してイネ根に接種してしばらくイネを生育させ、その根を表面殺菌したあと破砕してHM寒天培地に撒けば、皮層細胞内に侵入していた根粒菌系統を簡便に単離できると思いついた。今後はこの方針に従い、イネ皮層細胞に高効率で感染するクサネム根粒菌の選抜を進める予定である。一方、イネ形質転換用コンストラクト作成に関しては、平成29年度後期からは10-12人の学生諸君が担当者の研究室に所属して卒業研究に励む予定であるので、彼らと力を合わせて遅れを挽回したい。
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Causes of Carryover |
前述のように、平成28年度は担当者が単独で研究を進めていたため、次年度使用額を生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
しかし平成29年度後期からは多数の学生諸君と共に研究を推進するため、研究費の使用額は飛躍的に増大することが見込まれる。全体としては、研究費をバランス良く消化しているつもりである。
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