2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K08149
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
征矢野 敬 基礎生物学研究所, 共生システム研究部門, 准教授 (60532819)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 根粒共生 / 植物微生物相互作用 / ミヤコグサ / 器官形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、LjLBD16-1とLjNF-YA1,LjNF-YB1の共発現が異所的な細胞分裂を誘導することを示したが、根粒原基の形成との関連が不明であった。平成30年度はこれらの因子をミヤコグサdaphne変異体で発現させることで、根粒原基の形成に関わることを示唆する結果が得られた。daphne変異体はNIN遺伝子の上流で転座が起きており、そのために皮層でのNINの発現が抑制されている。その結果として、表皮における根粒菌の感染イベントは起こるが原基が形成されない。LjNF-YA1とLjNF-YB1の共発現ではコントロールベクターを導入した場合と同様にdaphne変異体において根粒は形成されなかったが、LjLBD16-1とLjNF-YA1,LjNF-YB1を共発現させたところ、5%の植物で根粒が形成され、通常の根粒に見られるように根粒内に感染糸が網目状に広がっていた。さらに一部では内部共生が確認できたことから、LjLBD16-1とLjNF-YA1,LjNF-YB1が部分的にNINの機能を置換えたと考えられた。さらに、RNA-seqによって、LjLBD16-1の過剰発現、LjNF-YA1,LjNF-YB1の共発現、三者の共発現で遺伝子発現プロファイルを比較したところ、LjLBD16-1とLjNF-YA1,LjNF-YB1を同時に発現させた時にのみ発現が誘導される遺伝子群が確認された。in vitroでのpulldown実験やBiFCの結果から、LjLBD16-1とLjNF-YA1,LjNF-YB1は複合体を形成すると考えられる。RNA-seqの結果はこれらの因子が協調的に遺伝子発現を制御することを示しており、転写制御の観点からも複合体として作用することを支持すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、LjLBD16-1、LjNF-YA1,LjNF-YB1の共発現による根粒原基の誘導が確認できなかったが、平成30年度はdaphne変異体を用いることでこれらの因子が機能的に根粒形成に関わることを証明できた。さらに、遺伝子発現制御の観点からもこれらの因子が協調的に作用することがわかった。根粒原基形成おけるLjLBD16-1-NF-YA複合体の役割を生物学的機能と遺伝子発現制御から示せた点において、当初の研究計画の目的が達成できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の成果をまとめた論文を投稿しており、平成31年度での受理を目指す。また、得られた成果については学会等で発表していく。
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Causes of Carryover |
平成30年度に投稿論文の受理を予定していが、国外の研究グループと投稿時期の調整を行ったために投稿時期が遅れた。そのために平成30年度の受理に至らなかった。平成31年度は論文に受理に必要な追加実験、論文の掲載費、学会等での成果の発表に支出される経費が必要である。
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