2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Reactions Based on New Utilization of Highly Reactive Species
Project/Area Number |
16K08159
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
谷口 剛史 金沢大学, 薬学系, 助教 (60444204)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ラジカル / ボラン / ホウ素化反応 / ラクトン化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度にN-ヘテロサイクリックカルベン-ボランから発生させたホウ素中心ラジカルを用いるアルキンのtrans選択的なヒドロホウ素化反応を見出した。この反応をプロパルギルアセテート誘導体に適用したところ、アルキンのヒドロホウ素化化合物は全く得られず、ラクトンの一種である4-ボリル-2(5H)-フラノン誘導体が得られることがわかった。興味深いことに、この反応ではアセチル基のメチル基が失われる。これは、ボリルラジカルのアルキンへの付加によって生じるβ-ボリルアルケニルラジカルがエステルのカルボニル炭素へ分子内付加を起こし、続いて生じたアルコキシラジカルのβ-開裂反応によってメチル基が脱離したことを示す。エステルのカルボニル炭素へのラジカル付加反応はこれまでほとんど知られておらず、今回の知見はその非常に珍しい例である。また、炭素-炭素結合の形成と切断を伴ってラクトン化が進行するという点でも新規性が高い知見である。このラクトン化反応はさまざまなプロパルギルアセテート誘導体に適用可能であった。この研究成果は今年度、論文として公表した。今後は、β-ボリルアルケニルラジカルがエステルへの付加反応を起こす理由を詳細に調査する予定である。 また、trans選択的なヒドロホウ素化反応を活用して、新しいホウ素含有不飽和7員環化合物の合成に成功した。最近になって、この化合物が興味深い転位反応を起こすことを見出した。今後は、転位化合物の解析と反応機構の考察を行う予定である。 上記のホウ素中心ラジカルはアルキンだけでなく、電子不足な芳香族化合物とも反応することがわかった。特に、フッ素原子が多数置換した芳香環に対して良好な反応性を示すことを見出した。最近、反応機構を示す重要中間体の単離に成功し、現在はその解析を進めている。今後、基質の適用範囲を明らかにしながら、反応機構の解明を行う予定である。
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Research Products
(9 results)