2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K08171
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山越 博幸 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 助教 (30596599)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | シラシロシド / サポニン / 全合成 / 抗腫瘍活性 / 二連続第四級不斉中心 / オイコステロール |
Outline of Annual Research Achievements |
抗腫瘍性サポニン・シラシロシドE-1の初の全合成を目指し、本年度は二つのフラグメントの合成を行った。我々は既にCDE環フラグメントの立体選択的な合成方法を報告している。まず、本フラグメントの量的供給を容易にするため、安価なトリアセチルグリカールから数工程で6員環ラクトンを調製し、環縮小反応を試みた。その結果、カリウムアルコキシドを作用させた場合に、目的とする5員環エステルが良好な収率で得られることを見出した。続いて、N-ヨードスクシンイミドを用いたヨウ素化と塩基処理による脱離をワンポットで行い、目的とするCDE環フラグメント中間体に導いた。A環フラグメントの合成は、1,1,1-(トリスヒドロキシメチル)エタンを出発原料として行った。CoreyーFuchs法による三重結合の導入など11工程を行うことで、A環構築の基質となる1,6-エンインをラセミ体として合成した。種々の金触媒を用いて環化を検討したが、望みとする6員環生成物は得られなかった。そこで、C3位の立体化学が異なる基質を調製して環化を試みたところ、この場合には望みの6員環生成物が得られた。ただし、環状アセタールが加水分解されたジオールを含む無数の化合物が生成しており、目的物の単離は容易ではなかった。この結果を踏まえ、基質を環状炭酸エステルに変更して環化を検討した結果、ジクロロメタン中、Ph3PAuNTf2を作用させた場合に良好な収率(83%)で反応が進行することを見出した。最後に、保護基の変更とC3位の立体化学を反転させてA環フラグメントを合成することができた。現在、A環フラグメントの不斉合成について検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各フラグメントの合成に成功していることから、一定の成果を得ている。しかし、A環フラグメントの不斉合成は検討の途上であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
A環部の不斉合成を行った後、CDE環フラグメントとのカップリング、B環構築、糖鎖の導入などを経てシラシロシドE-1の全合成を達成する。
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