2016 Fiscal Year Research-status Report
分子内酸化的カップリングを基盤とするアクアンミリアルカロイド類合成法の確立
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16K08172
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 信樹 東北大学, 理学研究科, 講師 (50400221)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 有機化学 / 有機合成化学 / 分子内酸化的カップリング / アクアンミリンアルカロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、配座固定戦略を基盤とした分子内酸化的カップリングを鍵反応とした天然物の合成研究を展開している。アクアンミリンアルカロイドはモノテルペンインドールアルカロイドの一種で、その多くが顕著な生理活性を持っている。これらは、小分子ながら剛直な半球型ポリ環状構造とそれに付随するインドレニン、またはインドレニンに極性官能基が付加したインドリン構造を持つ極めて複雑な構造を持っている。1927年にアクアンミリンが単離されて以来、30種類以上のアクアンミリンアルカロイドが単離・構造決定されているにも関わらず、その構造の複雑さゆえに90年経った現在でも多くの合成化学者を惹きつける魅力的な合成標的分子群である。研究代表者は、これら一群の化合物全てに見られるC7-C16位結合に注目し、この結合を分子内酸化的カップリングによって形成することで、不斉4級炭素と不安定なインドレニン骨格、剛直なポリ環状構造を一挙に構築できる手法を開発し、本手法を用いてスコラリシン Aのかご型構造の構築に成功している。本年度は、本手法の適用範囲を拡張すべく同条件をC-Nカップリングへと適用し、シンガポレンチニジンの炭素骨格形成に成功した。得られた化合物を基に、シンガポレンチニジンへの変換にも成功した。 また、本手法をインドールアルカロイド以外にも適用すべく植物ホルモンである7-iso-ジャスモン酸イソロイシンのミミックである植物毒素コロナチン合成への適用を検討している。本手法を用いてコロナチンの効率的な合成法を確立するとともに立体異性体ライブラリーを構築を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
配座固定戦略を基盤とした分子内酸化的カップリングによりsingaporentinidineの合成を達成した。現在は、同戦略をインドールアルカロイド以外にも展開すべく植物毒素coronatine合成への適用を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
配座固定戦略を基盤とした分子内酸化的カップリング法をインドールアルカロイド以外にも適用すべく植物毒素coronatine合成への適用を検討している。本手法を用いてcoronatineの立体異性体ライブラリーを構築する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた真空グローブボックスの導入を研究の進展上先送りにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、より厳密な嫌気・禁水反応条件での検討を行う予定であり、真空グローブボックスを導入する予定である。
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