2017 Fiscal Year Research-status Report
チオニウムを用いたアリールカップリング反応の開発と縮合型複素環骨格への展開
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16K08181
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
樋口 和宏 明治薬科大学, 薬学部, 准教授 (60360195)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | チオニウム / ハークリンA / ビアリール / カップリング |
Outline of Annual Research Achievements |
著者は前年度に報告した結果を基づいてハークリンAの合成研究に着手した。まず、鍵反応前駆体の合成として、N-Boc-L-TyrとL-Tyr-OMeを縮合させて、2量体を収率よく得ることができた。続いて、ギ酸による脱保護後にアンモニア水を作用させて環化反応を行い、ジケトピペラジン型の化合物1を得た。次にフェノールエーテル型鍵反応前駆体2を得るべく、先に得られたフェノール型環化体1のO-メチル化をヨードメタンと炭酸カリウムを用いて試みたところ、低収率ではあるが目的物を得た。続いて、第3の鍵反応前駆体であるN-メチル体3を合成するため、環化物質1をO-ベンジル化したところ、39%の収率で目的物を得た。次にヨードメタンを作用させてメチルエーテル体を収率83%で得た。次にベンジル基の脱保護を接触水素化を行い目的物となるN-メチル体3を中程度の収率で得た。さらにN,O-メチル体4を得るために、N-Boc-L-Tyrのトリメチル化を行い、化合物を92%の収率で得た。得られた化合物について脱Boc化・縮合・環化を順次行い、目的物を高い収率で得ることができた。 これら一連の環化前駆体の候補物質について様々な反応条件や合成手法を検討し、応用性の高い合成ルートを開発することができた。 合成した鍵反応前駆体1についてチオニウムを用いたフェノール-カップリング反応を試みた。すなわち、ジフェニルスルホキシドとトリフルオロメタンスルホン酸無水物を用いて活性チオニウム種を発生させたあと化合物1を加え、ジクロロメタン中‐78℃で1時間反応させた。種々の反応条件を検討したが、結果として目的物は得られなかった。この原因の1つとして基質が有機溶媒に溶けにくかったことが挙げられられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところ当初の研究計画に沿って順調に実験を進めて来ることができている。今年度から新たに1名の学生を研究チームに加えて、研究の発展性についてより一層の検討を実施しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
活性チオニウム種を鍵反応に用いるにあたり、その前駆物質となる複数の誘導体を簡便に合成する方法を確立した。しかしながら一部の基質に溶解性の問題が生じたため、ジケトピペラジン環カルボニル基を還元するなどして、溶解性の向上にむけた改善を図っていこうと考えている。
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Causes of Carryover |
当該年度の割当予算を99.3%消化することができ、当初の計画通り使用できたと考えている。次年度はさらに消耗品を購入したりするなどの有効かつきめ細かい使い方をする。
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