2016 Fiscal Year Research-status Report
海洋産ポリ環状エーテル・ギムノシン-Bの全合成研究
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16K08182
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
森 裕二 名城大学, 薬学部, 教授 (40121511)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ギミノシン-B / ポリ環状エーテル / 海洋天然毒 / オキシラニルアニオン / Karenia mikimotoi / 渦鞭毛藻 |
Outline of Annual Research Achievements |
赤潮有毒渦鞭毛藻 Karenia mikimotoiから単離されたギムノシン-Bはポリ環状エーテル化合物で、細胞毒性を有することから医薬シーズとしての可能性が期待される。しかし渦鞭毛藻が生産する量は超極微量であり、天然からの試料入手が極めて困難な状況にある。そのため構造活性相関研究を行うためには、合成化学的供給が不可欠となっている。ギムノシン-BはA環からO環が連続縮環した15環性ポリ環状エーテルで、この全合成研究では、ABCD環フラグメント、GHI環フラグメント、KLMNO環フラグメントの三つのフラグメントから合成する成計画を立てた。本年度の研究ではABCD環フラグメントとGHI環フラグメントの合成研究を行った。 ABCD環フラグメント合成の原料となるA環ユニットは、D-アラビトールのベンジリデン化、第1級アルコールのTBS保護、第2級アルコールの酸化、立体選択的メチル化後、ベンジリデン基の接触還元的脱保護、トリフレート化などの反応を行って合成した。これと昨年度に合成したD環ユニットのエポキシスルホンとをオキシラニルアニオン法で連結し、臭化マグネシウムによるブロモケトン化、NaOHによる分子内6員環エーテルケトンの構築、トリメチルシリルジアゾメタンによる環拡大、エノールシリルエーテル化とOsO4酸化による1、2-ヒドロキシケトン合成、縮環部位でのメチルアセタール化、還元的エーテル化などを経てBCD環骨格を構築した。B環側鎖水酸基に不飽和エステルを導入、ヒドロキシメチル側鎖をヨウ化物に変換後、ヨウ化サマリウムによるラジカル環化反応を行ってA環を構築した。最後に、A環上のエステル側鎖を還元、ベンジル化してABCD環フラグメントを合成することができた。また、GHI環フラグメントの合成研究も実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ギムノシン-Bの全合成研究では、ABCD環フラグメント、FGH環フラグメント、KLMNO環フラグメントの三つのフラグメントを連結して合成する計画を立てた。初年度はABCD環フラグメントの合成法の確立と大量合成を行う予定であったが、AB縮環構造が5員環と7員環エーテルのトランス型縮環でしかも核間位にメチル基が存在するために、その合成が予想以上に困難で、合成法の確立にかなりの時間を費やしたために、研究がやや遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
ギムノシン-Bの全合成研究を引き続き推進する。ABCD環フラグメントの合成法を確立することができたので、次年度は、GHI環フラグメントとKLMNO環フラグメントの構築に取り組む予定である。KLMNO環フラグメントのO環ユニットはエーテル環酸素原子の両側に1、3-ジアキシャルメチル基を有する7員環エーテルであることから立体反発が極めて大きく、その構築には困難が予想される。そこで、O環ユニットの合成も推進する。O環ユニットの合成をFGH環フラグメントの大量合成と並行して行い、その合成ができ次第、KLMNO環フラグメントの合成に着手する。
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Causes of Carryover |
ギムノシン-BのABCD環合成において、当初は合成法を確立したのち大量合成を実施する計画をしていたが、合成法の確立が予想以上に難しく少量実験による合成ルートの探索研究が長引いたために、合成試薬等の購入費が小額に留まった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
大量合成が可能なABCD環合成ルートが確立されたので、次年度はの大量合成研究を実施する。そのための試薬等の購入費に充てる。
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Research Products
(6 results)