2016 Fiscal Year Research-status Report
フルオラスケミストリーの活用を鍵とする機能性固相触媒の開発
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16K08184
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
濱本 博三 名城大学, 農学部, 准教授 (40365896)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 有機合成化学 / 高分子化学 / 触媒反応 / 酸化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
医薬品合成化学において優れた固相触媒(固相担持型触媒)の開発は重要課題の一つである。固相触媒は,担体特性を活かすことにより均一系触媒にはない機能の発現を可能にする。本研究課題では,高分子化合物を担体として用いる固相触媒設計において, フルオラスケミストリー(=含フッ素化合物の性質利用に基づいた化学)の活用による新機能発現法を導き,その機能をいかした反応系構築への展開を目的とする。研究初年度にあたる平成28年度の主な研究内容は、「フルオラスケミストリーの活用を鍵とした機能性固相触媒の開発」の推進における基礎研究として、(1)フルオラス修飾高分子の合成(2)フルオラス修飾高分子担持型固相触媒の調製の実施である。以下にその成果概要を記す。 (1)AIBNを重合開始剤とし、フルオラスアクリル酸エステルを用いるフルオラス修飾高分子の合成を試みたところ、アクリルアミドモノマーとの共重合により安定な高分子体を得た。直鎖状フルオラス修飾アクリル系高分子は溶媒選択的溶解性を示し、架橋状フルオラス修飾アクリル系高分子は溶媒選択的膨潤性を示した。 (2)高分子特性をいかした固相触媒設計するために、フルオラス修飾高分子が各種溶媒中で形成する高分子溶液や高分子ゲルの反応場としての有用性を評価した。その結果、フルオラス修飾高分子環境は、分子状酸素を共酸化剤とする触媒的酸化反応に優位であり、陰イオン性アクリルアミドを主鎖とする高分子を活用するNHPI(N-hydroxyphthalimide)によるベンジル位(C-H)酸化反応の高活性化に寄与することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究計画内容は、(1)フルオラス修飾高分子の合成(2)フルオラス修飾高分子担持型固相触媒の調製の実施であった。(1)の高分子合成については、アクリル系高分子において固相触媒の担体としての適用が可能なフルオラス修飾高分子の合成法を見出すことができ、今年度の目標としていた成果を満たした。(2)の固相触媒設計においては、当初、フルオラス修飾高分子と含フッ素基質との相互作用特性を評価し、その特性に基づいた利用法を検討する計画であったが、顕著な特性が見出せなかった。そのかわりに、フルオラス修飾高分子が酸素酸化に対して非フルオラス系高分子ではみられない特性(高い酸素透過性)を示すことがわかり、想定外であったが固相触媒の設計する上で興味深い知見がえられ、次年度以降に計画している固相触媒反応系の設計研究を展開するために必要な成果が得られた。以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の計画している研究計画内容は、基礎研究として引き続き(1)フルオラス修飾高分子の合成(2)フルオラス修飾高分子担持型固相触媒の調製を実施するとともに、応用研究として(3)高分子特性をいかした固相触媒反応系の構築研究の開始である。(1)では、各種分析機器を活用するフルオラス修飾アクリルアミド系高分子の構造解析と最適化を計画している。(2)では、反応場特性の解析を進めるとともに触媒種に応じた担持方法の検討と高分子特性制御法の導出を試みる。(3)では、(1)と(2)の成果を踏まえ、高分子機能をいかした固相反応系の設計をおこない、触媒活性・回収性・再利用性の評価をおこなう。
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Research Products
(4 results)