2017 Fiscal Year Research-status Report
AFMを用いた液中計測によるナノ医薬品製剤の精密構造解析及び力学特性評価
Project/Area Number |
16K08190
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
森部 久仁一 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (50266350)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 顕二郎 千葉大学, 大学院薬学研究院, 准教授 (40451760)
植田 圭祐 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (40755972)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 原子間力顕微鏡(AFM) / 液中測定 / ナノ粒子 / 力学特性 / 透過型電子顕微鏡(TEM) / 構造評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
リポソーム製剤の調製と物性評価:モデル薬物としてドキソルビシン(DOX)をpH硫酸アンモニウム勾配法で封入したリポソームを、リン脂質(eggPC、DSPC):コレステロールモル比3:2にて調製し、原子間力顕微鏡(AFM)及びクライオ透過電子顕微鏡(cryo-TEM)を用いてリポソームの形態変化を詳細に評価した結果を論文投稿し、受理された。 DOX封入量に依存して、伸長した形状(prolate)、回転楕円体の形状(oblate)及び回転楕円体の中心部が凹んだ形状(concave) のリポソームが観察されるメカニズムを検討する目的で、封入条件(封入量・温度・封入時間など)を制御してDOX封入リポソームを調製し、Cryo-TEM 測定及びAFM測定を行った。その結果、リポソームの形態は条件により変化し、封入量が少ない場合は球状のリポソームが確認されるのに対し、封入量が増えるとその他の条件に依存せず、各種形態のリポソームが出現した。 ナノ結晶製剤の調製と物性評価 モデル薬物として、インドメタシンを、添加剤として、水溶性高分子Poloxamerを用いてナノ粒子懸濁液を調製し、ナノ粒子形成に及ぼすインドメタシン結晶形の影響を評価した。結果を論文投稿し、受理された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リポソーム製剤の調製と物性評価:DOX封入リポソームの形態に及ぼす封入条件(封入量・温度・封入時間など)を検討した結果、DOXの封入量が増加することで、prolateリポソーム、oblateリポソーム及びconcaveリポソームが観察されたが、これらの形態のリポソームのみが単一にできる条件を見つけるのは困難であった。これは、実験条件を封入に関わる時間、厳密に維持するのが困難なことが理由として考えられる。短時間・少量での封入とすることで、制御の厳密化が可能になると推察された。 ナノ結晶製剤の調製と物性評価:モデル薬物として、インドメタシンを、添加剤として、水溶性高分子Poloxamerを用いてナノ粒子懸濁液を調製し、ナノ粒子形成に及ぼすインドメタシン結晶形の影響を評価した。AFM測定により、ナノ粒子懸濁液中のナノ粒子をとらえることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
リポソーム製剤の調製と物性評価では、前年度に引き続き、薬物としてDOXを用い、DOX封入リポソームの調製方法を変更して封入と形態との関連を検討する。また、異なる脂質を用いて同様な方法でDOX封入リポソームを調製し、Cryo-TEM 測定及びAFM測定により、封入条件とリポソームの形態との関連を検討する。時間があれば別の薬物についても封入・形態評価を行う。 ナノ結晶製剤の物性評価では、表面状態のポリマー層の観察には至らなかった。ナノ粒子の基板への固定条件、固定後の洗浄条件が影響していると推察される。ナノ粒子上でのポリマー構造の直接評価が困難な状況であるため、まずは基板に固定したポリマーの表面構造評価を行う。具体的にはAFM基板に各種ポリマーを各種溶液条件で固定し、液中AFMで構造を評価する。得られた構造とポリマーの分子状態との関連を動的光散乱測定やNMR測定の結果から明らかにする。
|
Research Products
(5 results)