2017 Fiscal Year Research-status Report
環状オリゴ糖を用いた葉酸レセプター高発現癌細胞選択的な抗癌剤デリバリー法の構築
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16K08198
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
本山 敬一 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 准教授 (50515608)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 抗がん剤キャリア / シクロデキストリン / 葉酸 / ドラッグデリバリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、葉酸多分岐修飾メチル化シクロデキストリンを用いて腫瘍細胞選択的な殺細胞効果を有する抗癌剤デリバリー法を構築することである。即ち、腫瘍細胞で発現が上昇する脂質マイクロドメイン (脂質ラフト) との相互作用により抗腫瘍効果が期待されるメチル-β-シクロデキストリン (M-β-CyD) を用いて、新たに葉酸多分岐修飾 M-β-CyD (FAn-M-β-CyD) を調製し、腫瘍細胞上に高発現する葉酸レセプター (FR) を特異的に認識する抗癌剤キャリアを構築する。さらに、抗癌剤ドキソルビシン (DOX) を FAn-M-β-CyD に包接または結合させることにより、腫瘍細胞選択的抗癌剤デリバリー能を付与させる。本申請課題で作成する FAn-M-β-CyD は、抗癌剤キャリアとして以下の利点を有する。①葉酸、CyDとも臨床応用されており安全性が高い、②分子サイズが小さく (5 nm程度)、細胞膜透過性に優れる、③標的指向性を有するため、正常細胞への影響が少ない、④腎癌、肺癌、子宮癌、脳腫瘍、骨髄癌など多種類の癌に応用可能、⑤オートファジーを介した新規細胞死誘導機構を有する、⑥合成が容易かつ安価である。FAn-M-β-CyDを抗癌剤デリバリーに応用しようとする研究は、国内・国外ともに例を見ず、作用メカニズムからも独創性が高い研究である。 平成29年度は、DOX/FAn-M-β-CyD 複合体および FAn-M-β-CyD に抗癌剤 DOX を結合させた DOX/FAn-M-β-CyD 結合体を調製した。また、KB 細胞を用いて、DOX/FAn-M-β-CyD 包接複合体および結合体の FR 発現細胞選択的な抗腫瘍効果を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、FAn-M-β-CyD の調製および物性評価をすすめることが出来ている。葉酸受容体高発現および非発言細胞での取り込みや殺細胞効果に関する実験もおおむね順調に進行した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度では、ヌードマウスに KB 細胞懸濁液を接種して作成した担癌マウスに、FAn-M-β-CyD単独、DOX/FAn-M-β-CyD 複合体および結合体を腫瘍内、静脈内および経口投与した後、各投与経路における in vivo 抗腫瘍効果を腫瘍体積、体重、生存率を指標に評価するとともに、結合体の体内動態を検討する。また、DOX/FAn-M-β-CyD結合体を経口投与後、大腸選択的に薬物を放出し、大腸癌選択的な抗腫瘍効果を発揮するか否かを検討する。
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Causes of Carryover |
年度末のオートクレーブの故障により、細胞系の研究が中断したため、次年度使用額が生じた。次年度は、計画的な予算執行に努める。
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Research Products
(9 results)