2016 Fiscal Year Research-status Report
大気圧プラズマによる活性酸素生成および生体成分への作用に関する基礎的研究
Project/Area Number |
16K08203
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Research Institution | Nihon Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
安西 和紀 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (70128643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土田 和徳 日本薬科大学, 薬学部, 准教授 (50406633)
高城 徳子 日本薬科大学, 薬学部, 講師 (80424068)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大気圧低温プラズマ / 活性酸素 / ESR / 過酸化水素 / フリッケ線量計 |
Outline of Annual Research Achievements |
大気圧低温プラズマ(以下、プラズマ)の生体応用の研究が注目を浴びているが、プラズマの生物作用のメカニズムについての詳細はまだはっきりしないところがある。我々は、プラズマによる活性酸素生成に注目し、プラズマを水に直接照射したときに生成する活性酸素種に関する基礎的研究を行った。プラズマは、極細大気圧プラズマ装置(PN-110TPG・TPN20、NUグローバル)を用い、ヘリウムガスをプラズマガス種として発生させた。ESR測定は、試料を偏平セルに入れ、XバンドESR装置(JEOL)を用いて行った。 1.水面から20 mmの距離からプラズマをフリッケ線量計溶液に照射し、経時的に304 nmにおける吸光度を測定したところ、照射時間に比例して吸光度が増大した。すなわち、Fe2+が酸化されてFe3+が生成していることが確認された。 2.水面から20 mmの距離からプラズマを安定ニトロキシドラジカルである4-hydroxy-2,2,6,6,tetramethylpyperidine (Tempol)溶液(0.01 mM)に照射したところ、TempolのESRシグナル強度が照射時間に依存して減少した。発生した活性酸素種がTempolと反応し、Tempolシグナルを消失させたものと考えられる。 3.過酸化水素濃度を定量することにより、水へのプラズマ照射による過酸化水素の生成を調べた。過酸化水素の定量はペルオキシダーゼを用いる方法により行った。照射時間を30秒から60秒に倍増すると過酸化水素濃度は増大したが2倍まではならなかった。照射時間を60秒に固定し、照射距離を変えたところ照射距離に依存して過酸化水素生成量は変化したが、距離依存性は小さかった。 以上より、プラズマ照射により水に過酸化水素が生成することが確認されたが、それ以外の活性酸素種の生成についても定量を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大気圧低温プラズマから活性酸素種が発生していることを、フリッケ線量計、ESR、化学的定量法等のいくつかの方法で確認できた。しかしながら、ESRスピントラッピング法の実験および脂質過酸化の実験が予定通りには進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、進捗が遅かったものに注力しながら1年目の研究を継続発展させるとともに、生体モデル系に大気圧低温プラズマを照射したときの影響を調べる。
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Causes of Carryover |
分担研究者によるESRスピントラッピング報および過酸化脂質測定実験の進捗が計画通り進まず、残額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越金の約28万円は次年度に消耗品として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)