2018 Fiscal Year Research-status Report
高感度な核酸-蛋白質相互作用評価法の開発と核酸医薬への展開
Project/Area Number |
16K08218
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
三重 安弘 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (00415746)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | miRNA / Ago蛋白質 / anti-miRNAオリゴ / 電気化学アッセイ / 電極界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん等の疾病に関与しているmicroRNA(miRNA)を標的とした核酸医薬が期待され、miRNA活性を阻害するオリゴ核酸,anti-miRNA oligonucleotide (AMO),の開発が行われている。しかしながら、その作用機序の理解は進んでいない。本研究では、電極上に固定化したオリゴ核酸のダイナミクスを指標とすることで高感度な核酸-蛋白質相互作用評価法を開発し、これを応用してmiRNA-蛋白質複合体に対するAMOの作用機序を解明することを目的とする。 本年度(3年目)は、Ago蛋白質とmiRNAの複合体の大量調製を目指し、発現プラスミドの設計から再検討を行い当該蛋白質の取得量を向上させることができた。しかしながら、miRNAとの複合体形成については、高純度な複合体の収率向上には至らなかったため、次年度も引き続き精製条件等の検討を実施することとした。一方、前記と並行して、これまでに開発した高いmiRNA阻害活性を有するAMOを用いて、がん細胞の抑制効果も調査した。miR-21の発現上昇が確認されている脳腫瘍の一つである神経膠芽腫細胞(A172細胞)に、種々条件にてanti-miR-21 AMO を添加したところ、従来よりも少ない量のAMOにて有意な細胞増殖抑制効果を確認でき、効果的に作用することが示された。また、昨年度に見出した「電極の前処理条件が核酸-蛋白質相互作用の検出に大きく影響すること」について、調査を進めたところ、該前処理条件が電極界面の構造に影響を与えていることを示唆するデータを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
想定外に得られた成果、電極の前処理条件が核酸-蛋白質相互作用の電気化学検出に与える影響、を明らかにすることは、本研究目的達成のために重要であり、この検討に時間を費やしたため、当初予定していた様々なオリゴ核酸と核酸結合蛋白質の相互作用評価に遅延が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
ターゲット試料(Ago・miRNA)の高純度調整法を確立し、これまでに得た系を用いて様々なオリゴ核酸との相互作用評価を実施し、その相関を明確にする。また、電極の界面状態がアッセイ感度等に与える影響を明らかにする。更に並行して、今年度得られたAMOを用いたがん細胞の増殖抑制効果について、そのメカニズム解析を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)新しい結果の解析に時間を要したため、予定していた学会発表等を行うことができず、当初計画していた実験にも遅延が生じた。そこで、次年度にこれらを実施・検討することとしたため。
(使用計画)学会発表等の旅費や上述の相互作用解析、アッセイ感度に与える影響などの調査を効率的に進めるための費用に充てる。
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Research Products
(6 results)