2019 Fiscal Year Annual Research Report
Chemical approach to elucidate the molecular mechanism for the splice site selection
Project/Area Number |
16K08225
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
米田 宏 北海道大学, 薬学研究院, 講師 (60431318)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | スプライシング / ケミカルバイオロジー / CDK9 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者は本研究において、以前の研究で同定したpre-mRNAスプライシングの正確性を緩める化合物の作用機序の解明し、スプライス部位の変異が原因で起こる遺伝性疾患の治療法開発を目的としてきた。まず、化合物の活性向上を目的として得られた40種近い類縁化合物から、活性上昇化合物を選抜し、元の化合物と活性上昇化合物、さらに活性を失った類縁化合物の3種類によるスプライシングへの影響をRNA-seqにより網羅的に解析し、その比較を行った。その結果、これらの化合物のスプライシングに与える影響にはCDK9阻害剤で見られる特徴的な変化であるイントロンリテンションの顕著な減少が観察された。元の化合物は複数のキナーゼを阻害するが、他グループより、CDK9にも阻害活性を示すことが網羅的なキナーゼ阻害解析から示されている。そのため、CDK9阻害が本化合物のスプライシングへの作用機序と予想された。そこで、CDK9をノックダウンして化合物作用の変化を観察した結果、CDK9ノックダウン時に化合物処理を行うとスプライシングの正確性緩和への効果が増強された。CDK9はRNAポリメラーゼ IIのC末端部をリン酸化して、その伸長反応と速度を調節し、スプライシングもその速度と影響し合う。そこでRNAポリメラーゼIIのC末端部のリン酸化の減弱が主要な作用と予想し、リン酸化変化を観察したが、スプライシングに強く影響するタイプのCDK9阻害剤はC末端のリン酸化の顕著な減弱作用は示さなかった。このことはCDK9がスプライシングの正確性を調節する機能にはRNAポリメターゼを介さない経路があることを示しており、化合物の構造によっては、その経路のみを阻害しスプライシングを調節できる可能性が示されたと考えている。これはスプライス部位変異が原因となる疾患治療への新たな可能性をと示したと考えられる。
|
Research Products
(3 results)