2017 Fiscal Year Research-status Report
血漿高ヒスチジン糖タンパクの肝発現機序、及び内因性DAMPs抑制因子機能の解析
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16K08232
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
勅使川原 匡 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (40403737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西堀 正洋 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50135943)
高橋 英夫 近畿大学, 医学部, 教授 (60335627)
丹羽 淳子 近畿大学, 医学部, 講師 (60122082)
劉 克約 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (40432637)
和氣 秀徳 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 講師 (60570520)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高ヒスチジン糖タンパク / HRG / 急性炎症 / 敗血症 / 慢性炎症 / 肝 / 遺伝子発現 / DAMPs |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高ヒスチジン糖タンパク(HRG)遺伝子の炎症病態における発現制御機構、及び、血漿HRGタンパクの炎症抑制作用の分子機序の解明を目的とする。 HRGは、DAMPsの一つであるHMGB1に対する結合親和能、好中球に対する活性化抑制作用など、多彩な機能をもつ。また、血漿中のHRGは敗血症マウスにおいて著しく減少し、HRGの補充療法は敗血症マウスの致死性を劇的に改善する。HRGは全身性炎症病態の進行を制御する因子であると考えられる。 脳卒中易発性高血圧自然発症(SHRSP)ラット敗血症(CLP)モデル、周産期ラットモデルなど、HRG遺伝子発現が変動する複数種の実験モデルの肝遺伝子発現をDNAマイクロアレイによって網羅的に解析した。その結果、HRG遺伝子の発現変動と相関・逆相関する核内タンパク遺伝子を計14種同定した。これら候補遺伝子の中には、HRG遺伝子発現を制御する遺伝子が含まれている可能性が高い。今後、順次、候補遺伝子のcDNA発現ベクターを作製し、培養肝細胞・マウス肝に過剰発現させることで、HRG遺伝子発現への影響を検討していく。また、SHRSP-CLPラットの血漿を用いたカラムクロマトグラフィー・質量解析によって、HRGと結合親和性をもつタンパク分子を計7種類同定した。これらの同定タンパクは、いづれも炎症病態への関与が知られている因子だった。いくつかの因子は、本研究においてHRGとの結合親和性が初めて明らかとなった。今後、同定タンパクの機能がHRG結合によってどのような影響をうけるか解析していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子解析・タンパク解析のどちらもHRG機能に関与する可能性のある候補因子を複数同定することができた。解析をおこなう中で、敗血症のような急性炎症疾患だけでなく、いくつかの病態モデル・生理的健常モデルにおいてもHRGの発現様式が新たに明らかとなった。HRGと結合親和性をもつ炎症関連タンパクは、既知タンパクや新規タンパクが同定できた。既知のタンパクが本研究でも検出できたことは、本実験ストラテジーの有効性を示すといえる。新たに見いだしたHRGと炎症関連因子との結合能を詳しく解析することで、炎症病態の本質を明らかにできるかもしれない。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)HRG遺伝子発現を制御すると考えられる候補遺伝子のcDNA発現系を培養肝細胞(又はマウス肝)で試みる。また、マウスHRGプロモーター領域(Int J Cancer. 136:2693-704(2015))をクローニングし、同定した転写調節因子のHRGプロモーター活性能をレポーターアッセイ、及び、クロマチン免疫沈降(ChIP)によって解析する。
(2)候補タンパクのHRG結合能をウェスタンブロット法(WB)や免疫沈降法(IP)などの解析によって確認する。また、これらの候補タンパクの炎症病態に関わる機能がHRG存在下でどのような影響を受けるか、主にマクロファージや血管内皮細胞などに由来する株化細胞を用いて解析する。
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