2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K08233
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤村 孝志 広島大学, 先端物質科学研究科, 特任助教 (50392098)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | IgE / アレルギー / アレルギー増悪 / 免疫複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究成果として、OVA特異的IgE抗体を有する野生型マウスにOVAを経鼻投与後に鼻腔内に出現するIgE陽性細胞はB細胞であり、OVAとOVA特異的IgE抗体との免疫複合体がCD23を介してB細胞上に結合していることを明らかとした。本年度は、本IgE陽性B細胞の機能解析を行った。 本IgE陽性B細胞の出現、肥満細胞の脱顆粒誘導、鼻腔内IgE抗体価の時間的変化を解析した結果、IgE陽性B細胞は点鼻2日目より鼻腔中に出現したが、肥満細胞の脱顆粒は点鼻5日目より誘導された。肥満細胞の脱顆粒誘導に伴い鼻腔洗浄液中のIgE抗体価の減少が観察されたが、IgE陽性B細胞の割合並びに細胞表面のIgE結合強度に変化は見られなかった。 OVA特異的IgE抗体を有する野生型BALB/cマウスにOVA点鼻後、鼻腔内に出現したIgE陽性B細胞を分取し、OVA特異的T細胞受容体を有するDO11.10マウス由来のT細胞と混合培養を行った。その結果、IgE陽性B細胞と共培養したT細胞ではIgE陰性B細胞と共培養したT細胞と比べ高いT細胞増殖が認められた。さらに、OVAとOVA特異的モノクローナルIgE抗体を結合させて作成したIgE免疫複合体と脾臓由来B細胞及びDO11.10由来T細胞を共培養した結果、OVA単独、IgGとOVAとの免疫複合体と比較して有意に高いT細胞増殖を誘導した。 アレルギー炎症における本細胞の重要性を調べる目的で、CD23欠損マウスをOVAとアラムにて免疫後OVAを経鼻投与した結果、OVAの点鼻前後でOVA特異的IgE抗体価の増加割合は野生型のBALB/cと比較してCD23 KOマウスで低い傾向にあった。以上の結果から、局所のIgE陽性B細胞が効果的にT細胞に抗原提示することでTh2細胞の活性化を誘導し、局所でのIgE産生を亢進していると示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度導入できなかったDO11.10マウス並びにCD23欠損マウスを本年度導入し、当初昨年度の予定であった実験を行った。 一方で、本年度野生型マウスを使用して行う予定としていた実験の一部を昨年度先行して行っていたため、全体の進行状況としてはおおむね予定通り進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は当初の計画通り、IgEのアジュバント機能の解析をin vivoで行うと共に、その機序解明とアレルギーマーチにおける本細胞の重要性の評価を行う。 具体的にはOVAとOVA特異的IgEの免疫複合体をマウスに投与することにより、通常OVAの単独投与では誘導されないOVA特異的IgE抗体が血清中に誘導されるか確認する。 更に、スギ花粉アレルゲン特異的IgEとスギ花粉アレルゲンの免疫複合体で免疫したマウスをヒノキ花粉アレルゲンで感作することで、交差反応アレルゲンに対するアレルギーマーチが誘導されるか解析を行う。 次年度の研究推進内容・方法に計画書からの大幅な変更はない。
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Causes of Carryover |
年度末に購入予定であった試薬がメーカー国内在庫がなく、発注後納品が年度をまたぐ可能性が大きかったため、購入を次年度に回したため、少額の未使用額が生じた。 研究計画に従い、納期確定後次年度に同試薬の購入費用に充てる。
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