2017 Fiscal Year Research-status Report
メモリー濾胞性ヘルパーT細胞の制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
16K08247
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
原田 陽介 東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 講師 (20328579)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | Tfh細胞 / B細胞 / 抗体産生 / 免疫記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
濾胞性ヘルパーT 細胞(Tfh)由来のメモリー細胞は、効率的に抗体産生を誘導することが明らかになってきたが、Tfhメモリー細胞の形成、維持、および2次応答がどのようにコントロールされているのかはほとんど明らかになっていない。そこで我々は Tfh細胞の動態を生体内で追跡することでTfh細胞がどのような過程を経てメモリー細胞に変化していくのか、また他のメモリーT細胞と比べてどのような特徴を持っているのかを明らかにすることを目的として研究を遂行している。 平成29年度は、昨年度作製したCXCR5を発現したTfh細胞にtdTomatoを持続的に発現させることができるシステム(Cxcr5 CreERT2 R26 tdTomato)を使用し、tdTomatoを発現した抗原特異的なTfh細胞の動態をメモリー細胞まで追跡した。ニワトリ卵白アルブミン(OVA)特異的なT細胞レセプターの遺伝子を導入したCxcr5 CreERT2 R26 tdTomatoマウス由来T細胞をホストマウスに移入し、マウスをOVAで免疫した。免疫後、4日目と6日目でタモキシフェンを投与し、CXCR5発現T細胞にtdTomatoの発現を誘導した。免疫後5日目ではtdTomato発現細胞はT細胞領域とB細胞領域の境界領域に多く存在した。免疫後8日目にはそれらの細胞の多くがB細胞領域に存在し、その一部は胚中心領域に局在していることが観察された。メモリー期である免疫後28日目ではT細胞領域およびT-B境界領域にtdTomato陽性細胞の多くが存在していた。 以上の結果から、Tfh細胞はB細胞領域および胚中心において、抗体のクラススチッチ、親和性成熟、プラズマ細胞の分化の促進を行った後、メモリー期ではT細胞領域に戻って維持されることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Rosa26 YFP DTRマウスの作成が予定より遅れて、昨年度末にようやく完成した。そのためメモリーTfh細胞の機能を検討する実験に遅れが生じた。今後、Rosa26 YFP DTRマウスとすでに作成済みのCXCR5 CreERT2マウスまたはBcl6 tdTomato CreERT2マウスを掛け合わせ、メモリーTfh細胞をマウス体内から消去できるシステムを構築し、メモリーTfh細胞の機能を検討する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度作成したRosa26 YFP DTRマウスをCXCR5 CreERT2マウスまたはBcl6 tdTomato CreERT2マウスと掛け合わせ、Tfh細胞にジフテリアトキシンレセプターを発現させるシステムを構築する。これらのマウスに免疫後、タモキシフェンを投与し、Tfh細胞にジフテリアトキシンレセプターを発現させ、メモリーTfh細胞をマウス体内から消去する。このシステムによりメモリーTfh細胞の2次免疫応答における役割を明らかにしていく。また、蛍光タンパク質で標識されたメモリーTfh細胞を生体内から単離し、遺伝子発現を網羅的に解析することで、メモリーTfh細胞特異的な発現遺伝子を特定し、さらにそれらの遺伝子のメモリーTfh細胞における役割を検討していく。
|