2017 Fiscal Year Research-status Report
ゲノムワイド解析による哺乳類M/G1移行期における転写再活性化機構の解明
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16K08248
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
村上 康文 東京理科大学, 基礎工学部生物工学科, 教授 (90200279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏葉 脩一郎 東京理科大学, 基礎工学部生物工学科, 助教 (40735461)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 細胞周期 / 転写制御 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の細胞では、細胞分裂期において転写がグローバルに抑制されるが、これら遺伝子は細胞分裂が完了する頃から再び発現するようになる。この転写再活性化は厳密に制御されており、ストレス応答や細胞の増殖に関わる遺伝子が優先的に再活性化されることが明らかとされているものの、その詳細な機構は不明な点が多い。本研究ではこのM/G1移行期における転写再活性化機構を明らかにすることを目的としている。 以前に我々は、早期G1期に発現する遺伝子(早期G1期遺伝子)を網羅的に同定した。これを基に、前年度は早期G1期遺伝子の上流領域に着目して早期G1期遺伝子の発現を制御する転写因子を探索した。その結果、M/G1移行期で転写の再活性化に関わる転写因子を一つ見出し(因子Aとする)、さらに、M期においてこの因子の結合が維持される遺伝子領域では、ある種のヒストンのアセチル化レベルが高いことを明らかにした。そこで本年度では、因子Aとヒストンのアセチル化レベル、転写再活性化の関係性について更なる解析を行った。その結果、ある遺伝子集団ではM期において、因子Aの有無がその後のヒストンのアセチル化レベルと早期G1期遺伝子の発現に影響するという知見を得た。また、本年度はさらに複数の転写因子が分裂期のクロマチンに結合していることを見出した。そのうちの一つについては、蛍光観察により、分裂期においてほとんどの分子がクロマチンと共局在していたことから、早期G1期遺伝子の転写に関与することが期待され、今後の解析対象とすることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
因子AについてはChIP-seq解析を行う予定であったが、ChIPに使用できる抗体が入手できなくなったため実施できなかった。しかしながら、因子Aの分子メカニズムについては詳細が明らかとなりつつあり、早期G1期遺伝子の転写に関わる新規因子をさらに複数同定できたため、概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ChIP解析に使用できる因子Aの抗体を探索し、ChIP-seq解析を行う。他の因子についても発現抑制による解析を中心に、早期G1期遺伝子の発現との関与について解析を進める。
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Causes of Carryover |
概ね計画的に使用したが、キャンペーン等を使用するなど利用したこともあり、わずかな次年度使用額が生じた。受託解析を行う予定もあり、その費用に充てたい。
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Research Products
(7 results)