2016 Fiscal Year Research-status Report
宿主細胞トランスフォーメーションにおけるウイルス・マイクロRNAの役割の解明
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16K08250
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
土方 貴雄 武蔵野大学, 薬学研究所, 教授 (70189786)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | SV40マイクロRNA / SV40-miR-S1 / hsa-miR-1266 / テロメラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
実験計画に記した次の3つの項目において以下のような所見が得られた。 1)hsa-miR-1266のテロメラーゼ(TERT)発現抑制能の検討 hsa-miR-1266発現ベクター及びルシフェラーゼ遺伝子下流にTERT 3`UTRをつなげたTERTレポーターベクターを作製し、HEK293細胞へコトランスフェクションしたところ、hsa-miR-1266の導入によりレポーター活性の有意な減少が認められた。また、TERT発現がみられるA549細胞にhsa-miR-1266を導入するによりTERTタンパク質の発現は減少した。 2)SV40-miR-S1によるhsa-miR-1266のテロメラーゼ発現抑制の解除の検討 HEK293細胞へhsa-miR-1266発現ベクター、SV40-miR-S1発現ベクター、上述のTERTレポーターベクターの3種をコトランスフェクションしたところ、hsa-miR-1266単独導入で認められるレポーター活性の減少はSV40-miR-S1導入により解除された。この効果はSV40-miR-S1発現ベクターの導入量に比例していた事より、SV40-miR-S1は用量依存性にhsa-miR-1266の機能を中和している可能性が示唆された。 3)SV40-miR-S1のテロメラーゼの発現や活性の促進効果の検討 hsa-miR-1266発現量が低くTERT発現量が高いA549細胞やRD細胞に、hsa-miR-1266及びSV40-miR-S1を、hsa-miR-1266発現量及びTERT発現量が共に高いBxPC-3細胞にSV40-miR-S1をレトロウイルスベクターにより導入し、安定発現株を樹立した。A549細胞やRD細胞においては、hsa-miR-1266とSV40-miR-S1の両発現株はhsa-miR-1266の単独発現株に比してTERTタンパク発現レベルとTelomeric Repeat Amplification protocol (TRAP)法によるテロメラーゼ活性の上昇が認められた。BxPC-3細胞においても、SV40-miR-S1発現株はTERTタンパク発現レベルとテロメラーゼ活性の上昇が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では、miR-S1によるmiR-1266への結合とそれにともなうRISCへの移行を免疫沈降実験で検証する予定であったが未だ得られていない。この点でやや遅れている。理由としては、計画通りの方法で実験を行ったが、予想外の結果が得られ方法に問題があることが判明したためである。その後、方法についての再検討と新たな方法で実験を行うために必要な試薬の取り寄せることに時間がかかっており、年度をまたいで未だに実験は行われていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回二本鎖RNAが原因で方法の改善を余儀なくされ現在新たな方法に必要な試薬待ちの状態である。したがって、今後当面は昨年度分の課題を解決するための方法の検討を行い、昨年度の課題の検討を最優先に推進することを考えている。この方法は今年度以降の実験にも必要なので時間がかかっても最重要事項と考えている。
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Causes of Carryover |
上記したように、免疫沈降後の実験方法に問題があり解決方法を模索して時間がかかった点と新たな方法に基づき注文をした試薬が海外からの取り寄せで時間がかかっている点で年度をまたいぐことになったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新しい改良の方法では、非常に高価な酵素とRNA-DNAのハイブリッドアダプターが必要であるのでこちらに使用する。この方法に伴いRNAシークエンス解析も必要になる可能性が大きいのでそちらにも使用する予定である。
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