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2017 Fiscal Year Research-status Report

宿主細胞トランスフォーメーションにおけるウイルス・マイクロRNAの役割の解明

Research Project

Project/Area Number 16K08250
Research InstitutionMusashino University

Principal Investigator

土方 貴雄  武蔵野大学, 薬学研究所, 教授 (70189786)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
KeywordsウイルスマイクロRNA / 競合的マイクロRNA / 形質転換 / 細胞老化
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、「ウイルスマイクロRNAは宿主細胞が発現する内因性マイクロRNAと相補的に結合し隔離することで、内因性マイクロRNAの働きの抑制して標的タンパク質を増加させ宿主細胞の形質転換を誘導する」という仮説を証明することを目的とする。具体的にはSV40ウイルスマイクロRNA miR-S1がどのような内因性のマイクロRNAと相補的に結合しどのようなタンパク質の増加を介してどのような形質転換が生み出されているのかを、その仕組みを含め明らかにすることである。これまで宿主細胞の内因性マイクロRNAとしてmiR-1266にのみ着目していたが、本年度はin slicoの解析からmiR-S1と比較的相同性が高い8種類のマイクロRNA(miR-138-5p, miR-152-3p, miR-337-5p, miR-434-5p, miR-532-3p, miR-921, miR-4261, miR-6771-5p)においてmiR-S1との結合性をin vivoで検討した。その結果、miR-S1はヒト線維芽細胞に発現するmiR-138-5pやmiR-152-3pと結合することが明らかになった。さらに興味深いことに、これらmiR-138-5pやmiR-152-3pの発現量は、コントロール線維芽細胞に比べmiR-S1をインフェクションした線維芽細胞において有意に増加していた。一方、線維芽細胞内でのmiR-1266-5pの発現量が少ないためか、miR-S1のmiR-1266-5pへの結合は見られなかった。また、細胞老化の指標となるβガラクトシダーゼ染色実験においてmiR-S1をインフェクションした線維芽細胞での老化抑制が示された。さらに、細胞周期解析においてmiR-S1をインフェクションした線維芽細胞にsubG1の割合が増加しておりアポトーシスの割合が多いことも明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

昨年度のSV40ウイルス・マイクロRNAに続いて、本年度はメルケル細胞ウイルス・マイクロRNAの感染細胞の形質転換に与える影響についての研究を行う予定であった。しかしながら、本年度SV40ウイルス・マイクロRNAの研究から非常に興味深い結果が得られたので、その結果をさらに深め展開させる方が、研究全体の意義や価値を高めると判断した。この点において、あえて本来の本年度研究計画を将来に先送りにした。

Strategy for Future Research Activity

メルケル細胞ウイルスマイクロRNAについては新たな別の研究で行うこととし、現在明らかになりつつあるmiR-S1の細胞老化の抑制作用について今後研究を推進していくことを考えている。miR-S1の老化抑制作用は、2つの経路があると考えている。ひとつは仮説通りのシナリオで老化促進マイクロRNAであるmiR-138-5pやmiR-152-3pの作用をmiR-S1が結合することで抑えること、もうひとつは本来のマイクロRNAの機能に沿ったシナリオでmiR-S1が老化に関連するFOXO4などのタンパク質発現を抑制することである。今後、この2つの経路において、具体的なタンパク質変動と細胞の生理現象の変異との対応関係を明らかにしていく。

Causes of Carryover

miR-S1と相補的に結合するマイクロRNAをRNAシークエンスにより解析することを考えていたが、そのためのキットとRNAシークエンスの外注を行うには残金では全く足りなかった。そこで、残金と翌年度分の一部により上記実験を行うことを考えている。

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Published: 2018-12-17  

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